ソウル大学路(テハンノ)のA小劇場の出入口。地下1階の公演会場と地上をつなげる通路は、このドアと階段だけ。70席の客席を満たした観客や俳優・スタッフらが非常状況で一度に脱出するにはあまりにも狭い。公演法上、「登録」の必要がない客席100席未満の小劇場は、安全管理において一層貧弱な状態だ。
韓国社会で、安全不感症はあちこちに隠れている。大型惨事が絶えなくても「まさか大丈夫だろう」という考えが蔓延しているようだ。多数の観客が制限された空間に集まる公演会場は特に危険だ。公演会場で日常的に発見される安全不感症の実態を、公演関係者10人の証言によって整理してみた。彼らは消防点検の強化、関係者の意識改善、関連法令の改正などが急務だと異口同音に話した。
◆小劇場は安全死角地帯=現在の建築法・消防法などによれば、面積300平方メートル以下の公演会場は公演施設としての消防関連の規制を受けない。ソウル大学路だけでもこうした「規制の外」にある小劇場が170~180カ所に達する。このうち70~80カ所は、もともと小劇場としての登録さえされていない。小劇場では非常口を探すのが難しい。舞台に気をつかってカーテンの中に非常口を隠したり、演劇の暗転場面の効果を高めるために非常口のあかりをテープで覆ったりしておく所が多い。公演開始前に非常状況の対処法を案内するとしてエキストラ俳優が出てきて「火災が起こったら案内員の誘導により落ち着いて避難してください。ところで案内員はいません」というふうに、ふざけて進めるケースもよくあることだ。
公演関係者10人による「安全不感症」の告白=韓国(2)
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