中華民族の大復興を意味する「中国夢」。このチャイナ・ドリームと関連した２つの意味深長なことが最近１度に起きた。１つは「雨傘革命」と呼ばれる香港の民主化デモで、もう１つは中国企業のニューヨーク最高級ホテル、ウォルドルフ・アストリアの購入だ。

雨傘革命の飛び火が似た境遇のマカオを経て本土に移ればどうなるだろうか。時間はかかるだろうが中国全体が分裂するだろうというのが西側のメディアの希望（？）の混ざった分析だ。実際に右派メディアのウォールストリートジャーナルは「香港事態が中国の他の地域で連鎖的波及効果を及ぼすのではないかと中国指導部は恐れている」と伝えた。それでなくても熱くなっているチベット・ウイグル民族主義に火を点けて中国大陸が分裂するのをそれとなく期待している表情だ。１９９０年代ソ連が分裂し急速に弱まった楽しい思い出がまだほのかに思い出されるようだ。

反面、ウォルドルフ・アストリア・ホテルの買い入れは経済覇権が米国から中国に渡っていることを象徴的に見せた事件だ。解釈すれば前者が政治的危機の兆しならば、後者は中国経済の頭角の現れであるわけだ。それならば今の中国は危機を目前にしているのか、でなければ「パックス・シニカ（Ｐａｘ　Ｓｉｎｉｃａ・中国による平和な時代）」に向けて巡航中なのか。


悲観論が正しければ香港の雨傘革命は決して対岸の火事でない。昨年の韓国の全体輸出５５９７億ドル（約５９５億円）のうち中国市場の比重は２６．１％だ。その後に続く米国（１１．１％）・日本（６．１％）・香港（４．８％）・シンガポール（３．９％）等４カ国を合わせても満たない。中国が崩れれば韓国経済がどうなるかは問うまでもない。

それならこの相反した２つの信号をどのように解釈すべきか。このシグナルを的確に見抜くには西側とは顕著に異なる中国の状況を念頭に置くべきだ。端的な事例が政治的民主主義と経済発展間の相関関係だ。

米国南部の名門デューク大学経営大学院には設立精神を含蓄した「多元性宣言文」が掲げられている。「技術革新の源泉である私たちの社会の中の多元性を活用するのに寄与する」ということがその要諦だ。

オーストリア出身の経済学者ジョセフ・シュンペーターがかつて説明したように経済成長の原動力は創造的破壊を通した革新だ。それでは革新はどこから来るのか。欧米の学者は異質な考え方を包容する「多元主義」から始まると確信する。これを証明する実証的調査も多い。

それでは居住移転の自由まで薄い中国はどうだろうか。西側論理のとおりならば窒息しそうな社会統制で創意的革新が起きることは皆無だ。それで中国の衰退を予想する強力な論理の中の１つが多様性の欠乏だった。



【コラム】中国、「雨傘革命」で分裂するか（２）