イラスト=カン・イルグ
いくつかの理由で、私にはそのような確信がない。
最初に、独裁者は深刻な偏狭性と権力を奪われるかも知れないという病的な不安感に苦しめられる傾向がある。それで独裁者は、社会を苛酷に統制してさまざまな形態の自讃や追従(こび)に陥る。現在の北朝鮮の最高指導者がほかの指導者よりもさらに安心し、不安を軽減させるほどのカリスマ性にあふれているだろうか。今のところ恐らくそのような証拠がない。そのため何の説明もなしで最高指導者が蒸発した中で、ナンバー2を南に送ったことは非常に特異だ。言論メディアがナンバー2・ナンバー3をどうこう言うこと自体が、彼を威嚇すると判断されるかもしれないではないか。
2番目、黄炳瑞(ファン・ビョンソ)は「ナンバー2」以上と思われる。「ナンバー2」というよりは「ナンバー1.5」だ。隊長よりも高く、元帥よりは低い次帥である彼は、北朝鮮軍の総政治局長であり、朝鮮労働党組織の指導部第1副部長だ。その上最近では、強大な国防委員会の副委員長に選任された。党と軍をつなぐ権力回路の中心にいるのだ。もし彼が最高人民会議で若い指導者・金正恩が見守る中で国防委員会副委員長に任命されていたら「北朝鮮には何の異常もない」で言ってもかまわないだろう。だが金正恩は、その場にいなかった。もし足首の負傷や痛風が不参加の理由だったら最高人民会議を延期するというのが理に適っているのではないか。
3番目、韓国の国家安保室長と統一部長官に会った時、北朝鮮訪問団は朴槿恵(パク・クネ)大統領の面会を提案された。北朝鮮人は日程を理由に提案を断った。おかしなことだ。2009年に来た最高位級特使団は、当時の李明博(イ・ミョンバク)大統領に会うために努めた。最近、北朝鮮が朴大統領に浴びせかけた悪口と呪いのために、朴大統領に会うのが恥ずかしかったのだろうか。今回彼らが韓国大統領に会ったとすれば、韓国の高位級代表団が北朝鮮に行った時も金正恩に会うことができるようになる。そのような外交上の儀式のために断ったのだろうか。
【コラム】北朝鮮には何の異常もないのか(2)
この記事を読んで…