サムスン電子の実績不振に対する憂慮が現実として表れた。サムスン電子の今年７－９月期の営業利益は４兆１０００億ウォン（約４１００億円）と、前期（４－６月期、７兆２０００億ウォン）比で４３％減、過去最高だった前年同期（１０兆１６００億ウォン）比で６０％近く減少した。実績不振の主な要因は、サムスン電子の成長を牽引してきたスマートフォン部門で高価品の販売が振るわず、中低価格品は中国製品の追撃を受けているからだ。韓国を代表する企業のサムスン電子の不振は、偶然にも、新しい高付加価値市場を開拓できず汎用製品市場で中国製品に劣勢となっている韓国の産業全般の競争力低下現象と軌を一にする。サムスン電子の実績不振が不吉に感じられる理由だ。

サムスン電子が直面しているさらに深刻な問題は、傾向的な下落を反転させる契機が見られないという点だ。激変する世界ＩＴ（情報技術）業界の競争構図の中で速い追従者（ｆａｓｔ　ｆｏｌｌｏｗｅｒ）としての強みが限界に達した後、グローバル先導企業（ｆｉｒｓｔ　ｍｏｖｅｒ）として抜け出す機会を逃しているという考えが生じる。もちろんサムスン電子もこうした問題点を認識し、変化の動きを見せているのも事実だ。スマートフォン時代以降を狙った新しい戦略を模索する一方、多角的なＭ＆Ａ（企業の合併・買収）を通じて企業文化の変貌を図っている。また、無線事業部門の不振を一部相殺した半導体部門の補強にも動いた。平沢（ピョンテク）に１５兆６０００億ウォン（約１兆６０００億円）を投じて世界最大の半導体生産ラインを建設することにしたのは、サムスン電子が持つ従来の製造能力の強みを最大化することで、再飛躍の足場を築くという意図とみられる。

サムスン電子はＩＴ分野で素材・部品からコンピューター・通信機器・家電製品まで一貫生産が可能な世界唯一の企業だ。これがサムスン電子の成功をもたらした強みであり、同時にグローバル先導企業への飛躍を妨げる弱点であるのかもしれない。今後はその強みを生かし、弱点は補完し、実績不振に対する憂慮を払拭し、グローバル超一流企業に生まれ変わることを期待する。