映画『ファジャン』で釜山(プサン)国際映画祭を訪れた林権沢(イム・クォンテク)監督。彼は「映画というのは、監督が生きてきた歳月と同じくらいの重みで撮られるようだ。長く生きたからといって名作が出てくるわけではないが、年を取った分だけ私たちの人生を深く垣間見ることができると思う」と話した。
◆林権沢の新たな挑戦=『ファジャン』は病気にかかった妻(キム・ホジョン)を介護していたオ常務(アン・ソンギ)が、若くて魅惑的な部下職員ウンジュ(キム・ギュリ)に愛情を感じることになる話で、小説家キム・フンの同名小説が原作だ。妻を限りない真心で介護しながらも、若い女性に向かう視線をどうにもできない中年男性の心理を繊細に描写した。人間の欲望を、凄然に痛ましく描き出した点が特に美しい。韓国的な情緒と美を主に描いてきた林権沢監督の作品では見られなかった題材と雰囲気だ。
林監督は5日、釜山の月石(ウォルソク)アートホールで開かれた記者会見で「100本余りの映画を作って、これまでやってきた枠組みから抜け出さなければならないと思っていたところ、製作会社ミョンフィルムから演出提案を受けた。この素材ならば新しい話ができると思い選択した。いつにもまして観客の評価が気になる」と所感を明らかにした。節制美が引き立って見えるという評について「人間の欲望とは本当に根も葉もないということを、年を取りながらより一層悟っている。生きる中で、私たちが露骨に口に出すのも恥ずかしい欲望が本当に多いが、節制の力でそれと戦いながら生きるということが結局は人生であるようで、淡々と描いた」と説明した。また「カンヌ国際映画祭に出品したが、選ばれることができず堪え難かった。その後、若い編集者とともに、かなり違う雰囲気に再編集をした。すっきりと整頓された」と付け加えた。
林権沢、チャ鎃・イーモウ…名前だけでも重み増す釜山映画祭(2)
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