仁川アジア競技大会閉幕日の北朝鮮代表団の訪韓は、さまざまな面で破格だった。軍総政治局長をはじめとする金正恩(キム・ジョンウン)体制の核心の3人が韓国を訪れた。南北関連史で北朝鮮の幹部が一度に、それも公開的に韓国を訪問した前例はない。黄炳瑞(ファン・ビョンソ)軍総政治局長は北朝鮮の最高幹部だ。労働党の中の党といわれる組織指導部の第1副部長を経て、軍に対する党の指導を総括する現職に就いた。先月は国家最高機構である国防委員会の副委員長を引き受けた。崔竜海(チェ・ヨンヘ)国家体育指導委員長(党書記兼任)は前総政治局長だ。2人は2011年の金正日(キム・ジョンイル)総書記死去後の権力交代期に、金正恩労働党第1書記を支えてきた。金養建(キム・ヤンゴン)対南担当書記は金正日時代から対南業務を掌握している。
代表団の訪韓実現過程も電撃的だった。前日に訪問を打診した。南北関係の特殊性と反転を実感させる。北朝鮮の権力核心の同時訪韓は、金正恩体制が磐石に上がっているという点を見せるための側面もあると考えられる。3人の訪韓は意味が非常に大きい。訪韓自体が南北関係を改善しようという北朝鮮の意志といえる。黄炳瑞は「今回は小道を作ったが、今後は大きな通路を開こう」と述べた。南北関係改善と緊張緩和のきっかけが用意されたのだ。南北が今回合意した第2回高官級会談が期待される理由だ。
3人の訪韓は北朝鮮が外交の多角化を図る中で実現した。北朝鮮は朝中関係が以前のようではないため、ロシア・日本・欧州連合(EU)などと積極的に関係改善を模索している。核開発と人権問題による孤立から脱するための守勢的な性格もあるが、北の対外関係強化は望ましい。結局、国際社会へと向かう道だ。北朝鮮は経済開発区(特区)の指定、投資説明会を通じた外資誘致にも拍車を加えている。北朝鮮のこうした外交・経済的努力にもかかわらず、北朝鮮経済の中国依存はますます深まっている。対中国貿易が北朝鮮の全体貿易の9割を占めるほどだ。2010年の韓国哨戒艦「天安」事件後、韓国の5・24対北朝鮮制裁措置で生じた貿易の空白を、中国が埋めている。
それだけに今後の交渉で5・24措置や金剛山(クムガンサン)観光中断の解除を積極的に考慮する必要がある。北朝鮮の要求に応じるという消極的な発想から抜け出し、北朝鮮問題の最大当事者である韓国の位置づけの確保のためという積極的な発想が必要だ。この措置の解除による対北朝鮮貿易の再開と経済協力は、韓国企業にも新たな活力源となる可能性がある。もう一つは北朝鮮の核問題だ。9月29日付の社説で指摘したように、北朝鮮の核問題解決をすべての問題より優先する政府の従来の対北朝鮮戦略は見直す必要がある。北朝鮮の核問題は必ず解決されなければならない。しかし段階的かつ長期的な課題として扱い、南北間の他の懸案の足かせとならないよう、現実的かつ創意的な努力が求められる。北朝鮮も軍事的な脅威と挑発を中止しなければならない。そうしてこそ信頼の循環が生まれる。
南北関係は「天安」事件以降、関係改善のきっかけをつかめなかった。間欠的な対話はあったが、不信と対立の不完全な平和(incomplete peace)の構造は変わらなかった。今年に入って南北高官級対話が行われ、離散家族再会も一度実現したが、進展はなかった。北朝鮮代表団の今回の訪韓が南北共生の協力と和解・平和構築の新たな枠をつくる第一歩になることを期待する。
代表団の訪韓実現過程も電撃的だった。前日に訪問を打診した。南北関係の特殊性と反転を実感させる。北朝鮮の権力核心の同時訪韓は、金正恩体制が磐石に上がっているという点を見せるための側面もあると考えられる。3人の訪韓は意味が非常に大きい。訪韓自体が南北関係を改善しようという北朝鮮の意志といえる。黄炳瑞は「今回は小道を作ったが、今後は大きな通路を開こう」と述べた。南北関係改善と緊張緩和のきっかけが用意されたのだ。南北が今回合意した第2回高官級会談が期待される理由だ。
3人の訪韓は北朝鮮が外交の多角化を図る中で実現した。北朝鮮は朝中関係が以前のようではないため、ロシア・日本・欧州連合(EU)などと積極的に関係改善を模索している。核開発と人権問題による孤立から脱するための守勢的な性格もあるが、北の対外関係強化は望ましい。結局、国際社会へと向かう道だ。北朝鮮は経済開発区(特区)の指定、投資説明会を通じた外資誘致にも拍車を加えている。北朝鮮のこうした外交・経済的努力にもかかわらず、北朝鮮経済の中国依存はますます深まっている。対中国貿易が北朝鮮の全体貿易の9割を占めるほどだ。2010年の韓国哨戒艦「天安」事件後、韓国の5・24対北朝鮮制裁措置で生じた貿易の空白を、中国が埋めている。
それだけに今後の交渉で5・24措置や金剛山(クムガンサン)観光中断の解除を積極的に考慮する必要がある。北朝鮮の要求に応じるという消極的な発想から抜け出し、北朝鮮問題の最大当事者である韓国の位置づけの確保のためという積極的な発想が必要だ。この措置の解除による対北朝鮮貿易の再開と経済協力は、韓国企業にも新たな活力源となる可能性がある。もう一つは北朝鮮の核問題だ。9月29日付の社説で指摘したように、北朝鮮の核問題解決をすべての問題より優先する政府の従来の対北朝鮮戦略は見直す必要がある。北朝鮮の核問題は必ず解決されなければならない。しかし段階的かつ長期的な課題として扱い、南北間の他の懸案の足かせとならないよう、現実的かつ創意的な努力が求められる。北朝鮮も軍事的な脅威と挑発を中止しなければならない。そうしてこそ信頼の循環が生まれる。
南北関係は「天安」事件以降、関係改善のきっかけをつかめなかった。間欠的な対話はあったが、不信と対立の不完全な平和(incomplete peace)の構造は変わらなかった。今年に入って南北高官級対話が行われ、離散家族再会も一度実現したが、進展はなかった。北朝鮮代表団の今回の訪韓が南北共生の協力と和解・平和構築の新たな枠をつくる第一歩になることを期待する。
この記事を読んで…