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【社説】「惨事が大韓民国を分裂させている」

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
インターナショナルニューヨーク・タイムズは29日付1面に、セウォル号以降の韓国社会を分析した記事を掲載した。惨事の初期には遺族と悲しみを共にし、もう少し安全な国をつくり出そうという社会的共感が形成されたということだ。だが時間が過ぎながらセウォル号特別法の処理をめぐる対立が激しくなって深刻な理念分裂が広がっていると新聞は伝えた。新聞は「韓国を団結させた惨事が、韓国を分裂させている」と診断した。

一般人犠牲者の遺族は29日午後、安山(アンサン)合同焼香所から家族の遺影を撤収させた。高校生遺族中心で運営されている遺族対策委に対する不満を行動で示したのだ。彼らは声明で「このようにするしかないことについて、共に心配し悲しんで下さった国民に申し訳ない」「壇園(ダンウォン)高生徒対策委は…自重して自重するよう繰り返しお願いします」と明らかにした。与野党と市民社会団体はもちろん遺族までも分裂する状況に来たのだ。

今年4月に前代未聞の惨事が広がった後、朴槿恵(パク・クネ)大統領は涙を流して徹底した真相究明と再発防止を約束した。政界や政府も社会の積弊を清算しようと叫んだ。人々は未来世代がより安全な国に住めるようにとの希望を抱いた。だが5月が過ぎた後、韓国社会は違う状況へと変わった。真相究明の主体に捜査・起訴権を与える問題をめぐって与野党が対立し、国論も互角に分かれた。遺族対策委が断食闘争(ハンガーストライキ)を選び、保守団体は糾弾集会を開いた。一部では断食座り込みをあざ笑う「暴食闘争」も広がった。セウォル号特別法のために一般民生法案までが足かせをかけられた。


最近の遺族対策委の一部の振る舞いは、誰が見ても不適切だ。検証されていない内容でセヌリ党代表と一般遺族を結びつけた。代行ドライバー暴行についての説明も釈然としない。ついに警察が遺族3人に対して拘束令状を申請する事態にまで広がった。一般遺族の声明の通り、遺族対策委の自重と省察が必要と思われる。だが社会分裂の主な責任を遺族に転嫁するのは穏当ではない。朴大統領は、子が親より先に亡くなる悲しみに耐えている遺族に、さらにもう一歩近づく包容のリーダーシップを発揮しなかった。与野党は情けない虚弱な水準の調停能力を見せた。一部の市民団体・進歩陣営は遺族を和合ではなく分裂の場に誘導しようとした。

韓国社会の分裂は、来るところまで来た。今の分裂は、大韓民国の総体的な水準を端的に見せている。今でも各主体は、まだ残っている団結の火種を生かさなければならない。もし最悪の状況から深刻な分裂を克服して団結を実現さえできるならば、私たちは「偉大な成功事例」を持つことになる。これは「安全大革新」の原動力になるだろう。これが300人以上の花のように美しい命の犠牲を無駄にしない道だ。



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