陸軍２８師団で起きたユン一等兵暴行死亡事件を捜査している軍当局が、初期調査の段階から加害者の容疑を「暴行致死」と断定し安逸に捜査に臨んでいたことを思わせる証言が出てきた。

ユン一等兵暴行事件で主犯格となった兵長の弟は５日、中央ＳＵＮＤＡＹとのインタビューで、「事件が起こった直後に憲兵隊幹部が家に電話をかけてきて兄の拘禁の事実を伝え、『暴行致死で３年程度の刑になるだろう』と説明した」と話した。軍服務を終えた大学生である兵長の弟は、「殺人罪になるのかと尋ねたらそういう話をした」と明らかにした。

憲兵隊幹部が兵長の家族への衝撃を考慮して「３年の刑」と言及した可能性もあるが、憲兵隊と軍検察が事件の深刻性をしっかりと認識せずに捜査を行ったり意図的に事件を縮小させようとの見方もある。軍検察は実際に兵長ら被告人に暴行致死容疑を適用して起訴し、これに対する非難世論が大きくなったことから殺人容疑の適用を検討している。陸軍は９日、事案の重要性を考慮し、大佐級の軍判事の代わりに将官級の軍判事を１審の裁判長席に座らせると明らかにした。


兵長の弟は、「母と一緒に面会に行った時に引率した軍人はランニングシャツ姿に帽子もかぶらずスリッパを履いて出てきた。平日勤務の兵士がそのような格好をしているというのが信じられなかった。部隊の規律弛緩が事件発生に影響を及ぼしたという気がした」と話した。弟によると兵長は面会で「（被害者の）家族に申し訳ない。私が罪を犯した」と話し涙を流したという。

「どうしてそうしたのか」と母親が尋ねると、「幹部がやらせた」と答えた。兵長が言及した「幹部」は共犯としてともに起訴された下士と推定される。この事件で下士の役割に対する綿密な調査の必要性を提起する問題だ。

兵長の弟は、「衝撃を受けしばらく食事ができなかった母は、『被害者の家族と社会に申し訳ないばかりで、（私たちが）くやしいことはない』と考えている」と話した。インタビューは慶尚南道昌原（キョンサンナムド・チャンウォン）にある兵長の自宅で行われた。当時家には弟だけがいた。弟は兄が新兵に「父親が暴力団だ」と話し怖がらせていたという捜査内容と関連し、「父は暴力団ではない。兄がなぜそのような嘘をついたのかわからない」と話した。（中央ＳＵＮＤＡＹ第３８７号）