「鏡よ鏡、この世で最も美しいのは誰？！」

前日飲みすぎた女王が大きく叫ぶと鏡には白雪姫の顔が現れる。鏡はすばやく女王の顔色をチェックして、朝食として酔い覚ましの「もやしフグスープ」を勧め、最近人気の美容情報を次から次へ画面に見せる。女王はムカムカしながら「ドレス試着」ボタンを押す。すると鏡には数十着のドレスが瞬時に表示されて、女王は２時間の間あの服この服‥・と仮想でドレスを試着しながらストレスを発散した。

童話の話ではない。鏡でありタッチスクリーンの役割もするこの製品は今年２月、ＬＧ電子がスペイン・バルセロナで開かれた「モバイルワールドコングレス（ＭＷＣ）２０１４」でお披露目した「ＬＧボード（ＬＧＢｏａｒｄ）」だ。


いかに情報技術（ＩＴ）が発展してスマートフォンが大衆化しても“目に見える”ディスプレイがないなら何も意味がない。この世のすべての技術の窓であるディスプレイはどこまで進化したのだろうか。向こう５～１０年後、私たちはどんなディスプレイに囲まれて世の中を見、感じることになるのだろうか。

◆２０２５年には８２兆ウォン（約８兆円）市場に

画面が透明でその上曲げられるようになったら、活用範囲は無尽蔵だ。ハリーポッターが見た「予言者日報」のように紙の重さの新聞を広げれば記事ごとに写真の中の人物が動き出して映像で見ることができる。一般の窓や鏡をディスプレイに変えて「情報窓」として使える。また家や職場でもスクリーンをタッチして容易に情報を利用することができる。このため産業通商資源部は２０１２年から透明フレキシブル（Ｆｌｅｘｉｂｌｅ）ディスプレイを「新市場創出型」国策課題に選定した。これが成功すれば２０２５年には関連売り上げ８２兆ウォン、輸出５６０億ドル、雇用８万４０００人などの経済的価値が創出されるものとみている。主管企業のＬＧディスプレイは最近１８インチのフレキシブル有機発光ダイオード（ＯＬＥＤ）と１８インチの透明ＯＬＥＤを同時に開発した。この分野の技術としては世界最高水準だ。画面はフィルムのような感じなので重さはほとんど感じられない。水に濡れた手で触っても問題なく、力を加えて半径センチの円筒にまるめても画面の中の映像は滑らかに動いている。ＬＧディスプレイは２０１７年までに透明で曲げられる６０インチ級大型ディスプレイの開発を目標にしている。

ところで透明な画面は何が良いだろうか。京畿道坡州（キョンギド・パジュ）のＬＧディスプレイ団地で会った透明フレキシブルディスプレイ（ＴＦＤ）事業運営団のキム・ジョンヒョン団長は「従来のテレビやパネルは電源を切ると真っ黒な画面だったが、透明なら後ろに飾られている絵や近くに置かれている植木鉢も見え、周辺スペースと馴染む。感性的にもとても良い」と話す。その上コンピュータとして使えば２人が向かい合って座り同時に作業ができて非常に有用だ。目標はガラス窓のように９０％以上に透明度を高めることだ。開発に成功した後、量産に１～２年かかったとしても、２０１８～２０１９年ごろには東洋画の掛け軸のように曲げられる（ｒｏｌｌａｂｌｅ）６０インチテレビやハンカチのように折りたたむことのできるスマートフォンが登場する可能性が大きくなった。アパート玄関の出入口が狭くて大型テレビをはしご車にのせてベランダから搬入する韓国の引っ越し風景は、いつの日か歴史の裏に消えるかもしれない。



透明ディスプ貃イの無限の可能性…韓国政府、８２兆ウォン市場をにらみ国策課題に（２）