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【時視各角】失敗に終わった野党の「兪炳彦陰謀」フレーム

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
一週間の間に、常識では納得できないことが起こった。再・補欠選挙を前に新政治民主連合は「兪炳彦(ユ・ビョンオン)陰謀」にしがみついた。院内代表を務めた朴智元(パク・チウォン)議員が先頭に立った。「兪会長の遺体が発見された場所は人通りの多い民家・唐辛子畑の近隣だったのに犬が吠えたりカラスが来たりしなかった。」朴議員の暴露が2日間続くと院内報道官である朴範界(パク・ボムゲ)議員がバトンを繋いで受けた。「遺体すり替え」疑惑をさらに露骨に論じた。何人かの他の議員も陰謀説に加勢した。検警(検察・警察)と法医学界は兪会長の死亡原因・時期は自信を持って明らかにできずにいる。ただし「間違いなく兪会長の遺体だ」という点についてははっきりと話している。これをひっくり返すほどの相当な根拠・情況があるならば分からない。住民と立ち合い警察の疑いだけで公党の大物がむやみに陰謀説を口にしたのはどう見ても突拍子もないことだった。

この頃、フレーム(frame)という言葉が流行している。世の中を見つめる枠組みを意味する。もう少し複雑に話すと、言語・映像を構成する時に根拠として使う認識・解釈の構造物だ。世の中はますます複雑になる。こんな時であるほど圧縮と省略を通じて状況を明瞭に伝達する能力が重要になる。フレームをうまく組立ててこそ議題先占取得が可能だ。情報社会で議題先占取得はすなわち権力・影響力だ。新政治連合は選挙戦略として「兪炳彦陰謀」フレームを有権者に突きつけたのだ。

野党は権垠希(クォン・ウンヒ)戦略公認波紋からコーナーに追い詰められていた。様々な面で名分と実質が不足した退行的政治慣行だった。セヌリ党はこれを「権垠希旧態」で追い立てた。このフレームは成功した。首都圏・忠清(チュンチョン)圏が動揺した。権氏が出馬した選挙区の低い投票率(22%)は湖南(ホナム)地域の反感も少なくなかったことが伺い知れる数値だ。渦中に兪炳彦会長の遺体が発見され、これまでの捜査問題点が次から次へと露呈した。遺体は疑問だらけであった。世間には陰謀説が溢れ出た。「兪炳彦でない」「他殺された」等…。陰謀説は手抜き捜査のために増幅された。野党としては「政府責任」として追い立てることができる好材料だと感じただろう。


韓国国民はセウォル号事故以来100日超えて各種フレームを経験した。時々刻々と主流フレームの位置は変わった。初めはイ・ジュンソク、海上警察フレームが強かった。逃げて傍観するばかりだった船長・救助担当者に対する怒りが大きかった。その後、事故対応を誤った為政者に総体的責任を問う大統領府フレーム、事なかれ主義・腐敗した公職慣行を叱責する官フィア(官僚マフィア、権利を利用し利益を得ようとする官僚のこと)フレーム、貪欲で団結した企業家を懲らしめようという兪炳彦フレームなどが次々と主流として登場した。

兪炳彦会長の遺体が発見され、すべてのイシューはそちらに引き付けられた。7月22~28日、地上波2社と総合編成チャンネル2社のメインニュース目録を独自に分析してみた。715個のアイテムのうちセウォル号関連報道は337個(47%)、そのうち何と322個が兪炳彦会長の死亡報道であった。選挙を目前にして世の中の出来事の半分近くが兪会長疑惑で塗り替えられる奇異な現象が起こった。野党は「陰謀=政府の責任」の枠組みを作って第5のフレームとして使いたかったようだ。

政治工学的計算は外れた。有権者は過去の4つのセウォル号フレームをたどりながら「公共の無能」を骨に凍みるほど実感した。陰謀フレームは全く新しくなかった。人々が陰謀説に陥ったのも陰謀自体を楽しむより紛らわしい情報で平衡を探そうとする心理的作用だった。未熟な陰謀説で混乱ばかり加重させた野党に苛立ちを感じた。そして権垠希波動と関連付けて「自分の目の丸太は見ずに(自分のことは顧みずに。マタイ伝の引用)他人のせいにばかりする」という新しい枠組みが有権者の頭の中に捕えられた。

よく捕えられたフレームは威力的だ。鋭い矢尻が中央にささる旋律を味わうことになる。大衆の心をよく読み取った時だ。反対ならば矢は撃った者の胸に返ってくる。野党の「兪炳彦陰謀」は失敗した。フレームの破綻だった。現代の情報社会においてフレームは愉快な道具であり恐ろしい凶器である。

イ・ギュヨン論説委員



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