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【取材日記】米サンズの提案、観光産業を振り返る契機に

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
米国の複合リゾート企業サンズグループがソウルに106億ドル(約10兆8140億ウォン)をベッティングをした。韓国人の出入りが可能な「オープンカジノ」が許可されれば、ソウル蚕室(チャムシル)総合運動場一帯の126万平方メートルの敷地を複合リゾートで開発するという提案だ。

サンズが出した「蚕室プロジェクト」設計模型は非常に興味深い。

真珠が入った貝を形象化したホテル、地上252メートルのプール、なんと500個の会議室があるコンベンションセンター…。蚕室野球場は解体されるが、その代わりに開発が白紙になったソウル龍山(ヨンサン)にドーム球場として建設するという。サンズ側の関係者によると、今年81歳のシェルドン・アンデルソン会長は「ソウルにレガシィ(遺産)を残すことを望んでいる」とまで話した。


しかし世論は冷静だった。この記事に関するネット上の意見には、韓国人の出入りを認めるオープンカジノは災難となるという警告が主流だった。「ソウルの真ん中に賭博場を作れば、家庭と社会が破壊するだろう」「100億ドルを誘致すれば、1000億ドル以上の財布がはたかれる」などの心配だ。

正しい指摘だ。しかしここで少し冷静になる必要がある。韓流ブームに乗って外国人の韓国観光客が大きく増えているが、国内の観光産業は依然として遅れている。一言で、見せるものがない。韓流による観光客の増加が瞬間的な特需として終わる可能性もある。観光産業の発展を妨げる各種規制も依然として障害物だ。

サンズの複合リゾート提案は、行き詰まった韓国観光産業を一段階飛躍させる契機になるのではないだろうか。すぐにも中国の大規模な観光客を誘致しようとすればだ。複合リゾート産業が活性化すれば、会議・観光・展示などいわゆるMICE(マイス)産業も拡大する。シンガポールは2010年、カジノを含むマリーナベイ・サンズホテルの建設で、コンベンション開催世界1位となった。

特に日本が2020年東京オリンピック(五輪)を控え、日本人のカジノ合法化を推進しているのも気になる。

もちろんお金より重要なのはカジノのために生じる社会的副作用であることは言うまでもない。ただ、そのような副作用が生じることになったのは、江原(カンウォン)ランド・競馬・競艇・スポーツTOTOなどのような射倖産業を運営しながら中毒対策には消極的だった政府の責任が大きい。李顕龍シンガポール首相は2004年、複合リゾート構想を提示し、説得と対話、対策の準備を併行した。カジノ導入が論議を呼ぶと、彼は規制と賭博問題委員会を設けた。

蚕室にオープンカジノを建設するかどうかは、もしかすると核心的な問題ではないのかもしれない。重要なのは今回の論争を契機に、遅れている国内観光産業を原点からもう一度見直そうということだ。サンズの“唐突な提案”が公論化されるほどむしろ有益である理由だ。過度に興奮する必要もない。

イ・サンジェ経済部門記者



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