イラスト=カン・イルグ
軍事力だけは国際的な競争力を備えている北朝鮮だ。苛酷な訓練にも耐え抜いた北朝鮮軍なら、アフリカのような厳しい場所でも活躍できるのは明らかだった。軍規も厳しく一部アフリカ軍隊のように強姦や横領のような事故を起こす危険もはるかに少ない。成就さえすれば北朝鮮としては魅力的な外貨稼ぎに違いなかった。そのうえ「平和の使い」というイメージまで得ることができた。
韓国としてもなかなか悪くないカードだった。まず北朝鮮が外国で稼げば北朝鮮への経済支援を減らすことができた。ばらまき支援論争からも抜け出せるという意味だ。また国連平和維持軍を派兵するには人権侵害論争があってはならないという前提条件を満足させなければならない。充分ではないかもしれないが、北朝鮮内の人権状況改善の契機と考えてもよい内容だった。しかしこの案は2006年に水の泡となる。金正日(キム・ジョンイル)政権による突然の第1次核実験のせいだった。
このように対話テーブルにまともにのせることもできないまま消えた「北朝鮮の国連平和維持軍」アイデアだったが、最近になって再考する時になったようだ。ただし今回は北朝鮮軍を国連平和維持軍として派兵するのではない。北朝鮮に平和維持軍を送り込もうというものだ。このアイデアが重みを増したのは、昨年末の張成沢(チャン・ソンテク)粛清後から徐々に高まりつつある北朝鮮の急変事態の可能性のためだ。
全く新しい話ではないが、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)政権が突然倒れる可能性は常に存在する。そうなった場合、北朝鮮内に中心勢力が消えて手のほどこしようもない混乱が起きる公算が大きい。これに関してあらゆるシナリオが乱舞しているが、中国が黙っていないという点については大きな異見はない。北朝鮮の急変事態で最も大きな影響を受ける国が中国だからだ。急変事態時には数百万人に達する難民が発生するのは明らかで、このうち大多数が鴨緑江(アムノッカン)や豆満江(トゥマンガン)を越えて中国に押し寄せる公算が大きい。中国としては耐え難い状況だ。
自然にこのような事態に備えようとする中国側の動きが継続して捉えられている。今月の初めには有事の際、北朝鮮への出動の任務を担う中国人民解放軍の瀋陽軍区が中朝境界地域で大々的な軍事訓練を実施した。この中には鴨緑江に浮橋を設置する訓練も含まれていた。今年1月にも同じ鮮洋(ソニャン)軍団所属兵士10万人が参加する冬季訓練が白頭山(ペクドゥサン)で開かれた。北朝鮮で騒ぎが起きた場合、直ちに鎮圧に入れるような勢いだ。
【コラム】北朝鮮が倒れれば国連平和維持軍が代案(2)
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