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【中央時評】大韓民国の首相の価値が11億ウォンか(1)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
安大熙(アン・デヒ)事件で韓国社会はもう一度不快な検証を行うことになった。事件が不快であるのは、国民の期待が非常に大きかったからだ。“国民検事”という愛称を与えるほど、国民は彼を信じていた。彼は上昇した分だけ落ちている。こうした落ち幅は初めてではない。「新しい政治」の伝導師を自任した人は旧政治の沼に落ちてきた。安大熙までがこれだから「新人物注意報」でも発令しなければならない状況だ。

安大熙首相候補は3つの失敗を犯した。まず反改革的で非純粋的な方法で大金を集めた。そして一度「お金の道」を選択したのなら、その道を進むべきだった。ところが彼は突然旋回した。「公職と名誉」まで得ようとしたのだ。最後に彼は国民の健康な判断力をテストしている。11億ウォン(約1億1000万円)を出せば過ちが伏せられるだろうと考えた。これは弥縫策だ。やましくなければ11億ウォンではなく110億ウォンでも守らなければならない。そうでなければ内訳から明らかにして謝罪するのが道理だ。11億ウォン献納で台風を避けるというのは、この国の首相の価値がその程度にしかならないということか。

最高検察庁中央捜査部長を経て最高裁判事まで、安大熙は「公職と名誉の道」を選んだ。自己管理が徹底し、スキャンダル一つなかった。彼は江北の古いマンションに暮らした。給料取りなら普通のことかもしれない。しかし世相で見ると“法曹高位職”としては異例だった。


その彼が昨年7月、路線変更の岐路に立った。彼が弁護士を開業しようとすると、数人の友人が引き止めたという。前官礼遇という批判を受けるおそれがあるため、海外研修がよいという勧誘だった。しかし安大熙は弁護士を選んだ。そしてあたかも長いあいだ待ち焦がれていたかのように激しくお金を集めた。早くから彼は改革派に分類された。しかし弁護士として疾走する時、彼に改革はなかった。法曹界を支配する古い慣行を彼はそのまま受け入れた。「5カ月・16億ウォン」は前官礼遇の風土でなければ不可能な金額だ。疾走が激しいため、判断力が弱まった。国税庁税務調査監督委員長でありながらも、彼は企業が法人税を減らそうとする訴訟を引き受けた。

それだけではない。彼は大企業顧問料という慣行も受け継いだ。大企業は検察高位職出身者を競い合いながら顧問として契約する。大物なら普通10カ所以上で顧問を引き受けるという。顧問料収入だけで1カ月に数千万ウォンにのぼる。企業に問題が生じれば顧問弁護士は後輩の検事に電話をかけてくれる。安大熙弁護士は周囲の人たちに「大企業にいる友人の要請に応じた」と説明したという。彼が実際、後輩の検事に電話をしたことがなくても、それは重要なことではない。代表的な改革家に分類された国民検事がその名声を利用して顧問料を受けたこと自体が反改革的だ。



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