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【社説】セウォル号を政争に利用するな=韓国

ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版
未曾有の大惨事を起こしたセウォル号事故は発生19日目に差し掛かった。事故収拾はまだ進められているが、政界ではすでに国政調査をしなければならないという主張が出てきている。

野党新政治民主連合の田炳憲(チョン・ビョンホン)院内代表は1日、「セウォル号事故の責任を問うための国政調査は避けられなくなった」として問題を提起したのに続き、与野党内部では怒った民心をなだめるため1日も早く国政調査が必要だとの意見が続々と出ている。

国民的な疑惑と公憤を呼び起こした前代未聞の事故であるだけに、国会が正確な真相調査をしなければならないという主張にはもちろん説得力がある。だが、その時期と方法の選択には慎重でなければならない。まだ60人余りの不明者が冷たい海中で安否が確認されずにいる。いまは事故収拾に総力を挙げなければならない時だ。不明者に対する捜索作業を終え、遺族たちの悲痛な心情とパニック状態に陥った民心をいたわる措置が優先だ。国会議員はその次に出てきても遅くない。


過去の政界の振る舞いを振り返ってみれば懸念されるところが少なくない。事件や不正が起きるたびに“伝家の宝刀”のように振り回してきた国政調査は声ばかり騒がしいだけで成果は別に出すことができなかったりもした。1987年から第18代国会まで21回も実施された国会国政調査のうち、結果報告書を採択したケースは8件にすぎなかった。昨年の国家情報院の書き込み疑惑をめぐる国政調査もやはり与野党間で延々53日間の政治攻防だけ行われ結果報告書も採択されなかったのではないか。事故収拾もまともに終わっていない現場に政治家らが集まり口論する光景をどの国民が願うだろうか。

近づく6月4日の地方選挙の主導権を握るための政治工学的な次元として国政調査を活用しようとする意図もまた警戒しなければならない。野党の一部では「政府と与党が力を出せない時にさらに厳しく追い詰めなければならない」という強硬論者の声が大きくなるという。セウォル号は彼らのための政治的材料ではない。与党もやはり時間が過ぎれば忘れられるという旧態依然な態度の中で無能な政府の形態をかばったり隠そうとしてはならない。これは政府の無能と無責任に加え犠牲者を2度辱めることだ。

与野党政界は子どもたちを死に追いやった「共同正犯」でもあるという認識を共有し、これまで安全に向けた立法努力を怠けていなかったか反省からしなければならない。これまで韓国の旅客船が安全に無防備状態でずさんな運行をしてきたという事実を指摘した国会議員は果たして何人いたか。だれかにその責任を問う前に、災害防止と安全確保に向けた国会本来の業務は何なのか深く省察しなければならない時だ。

その代わり現在行われている検察と警察の捜査と監査院の監査は少しの隙もなく厳重に進められなければならない。一部遺族が特別検事を要求するほど政府に対する不信が大きくなったという点を肝に銘じなければならない。(中央SUNDAY第373号)



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