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セウォル号の惨事、根本的な問題点を聞く(五)…西江大教授

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
セウォル号の船長や船員、そして海洋警察の不十分な行動に対する批判が激しい。背景にはセウォル号が沈没した初期に、彼らがもう少し良くやっていたら大惨事は防げただろうという遺憾の思いがある。リレーインタビュー5人目として西江(ソガン)大学新聞放送学科のナ・ウンギョン教授(52)の分析を聞いた。米国エール大学社会心理学博士である彼女は、現代社会のメディア環境にも関心が多い。ナ教授は「社会の支えの土台であり民主市民の基本である安全意識の不在が、事故の根源」として「幼稚園教育から正しく行おう」と提案した。

--今回の惨事がなぜ発生したと見るか。

「民主社会の責任ある市民ならば誰でも守るべき基本が徹底的に無視された結果だ。乗客が船に乗る時は、船舶の抜け目のない整備はもちろん、適正量の貨物を積載してしっかりと固定するのは基本の中の基本だ。誰もそれを疑わない。実状はどうだったか。その反対だった。常識的な信頼は無惨にけり飛ばされた。最も重要な船長から代理船長である上に、それなりの自分の責任を全うしなかった」


--船長や船員はもちろん、海洋警察も事故初期の自らの役割を果たしていないようだ。

「人は誰でも危機が迫れば論理的に行動するのは難しい。彼らが乗客を見捨てたのは、意図的計算から出た行動ではない。脳が体に命令するとおりに自動反射的な反応によってまず生きる道を探したのだ。そこで必要なのが普段の災難訓練だ。考える前に行動が先に出てくるように災難時の対応要領が身についていなければならない。2001年の米国9・11テロの時に相当数の犠牲者を減らせた理由は、2番目に攻撃されたワールドトレードセンター南側ビルの警備員が最初のビル攻撃後17分の間に立派に人々を非難させた結果だった。元軍人の彼は、1分1秒がお金で換算できるほど給料の高いビル勤務者の不平を甘受しながら、安全訓練を強力に主張して貫いていた」

--高校生らを救って亡くなった女性乗務員は、普段の災難訓練を受けていなかったのではないか。

「災難訓練による自動反応ではないとしても、船長や女性乗務員のだれもが各自で身についた通りの行動をしたのだ。個人差はあるはずだ。船長のような人が韓国社会に多ければ、社会全体のシステムを綿密に調べなければならない。日ごろから自分の利益だけを求めていても良い結果が出て、そのような態度を学習することになれば『私を守れるのは自分しかいない』という考えを持つようになるだろう。残念なことだ」

--韓国的な文化が、今回の事件に影響を及ぼしたと見るか。

「文化的特性が人々の考え方に影響を与えるのは事実だ。たとえば韓国の人々が自宅に食べ物を配達させる時、たいてい早く持ってくるよう要請するが、それは事故が起きても良いから早く持ってくれさえすればいいとの意味ではない。安全な配達は、当然その土台にある前提条件だ。だが表面的には早く持ってきてとだけ言う。このような形のコミュニケーションを、学術的用語では『高脈絡(high context)コミュニケーション』という。以心伝心、暗黙的に多くのメッセージが共有された状態で行われる対話だ。ひょっとすると、このような基本的な部分を当然視する習慣のために、実際皆が当然だと考えている部分を疎かにして、このような大きな事故にまでつながったのかもしれない」

--事故の再発防止策もあふれている。

「妙案があるだろうか。やはり教育から見出すべきだと思う。幼いころから基本に忠実なように教育することだ。最近、米国の公営放送NPRで、オクラホマ州のある幼稚園を紹介した。子供たちが自ら遊び方を選ぶようにして相手の話をよく聞く訓練をさせるという、目新しいものはない内容だった。だが韓国の幼稚園はどうだろうか。社会化の基礎である相手への配慮を学ぶよりも、小学校過程を操り上げて先行学習だけをさせようとしているのではないか。成長段階ごとに、なおざりにしてはいけない基本がある。それを忠実に教えなければならない」



【特集】韓国旅客船「セウォル」沈没事故

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