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セウォル号の惨事、根本的な問題点を聞く(四)…ユ・ジョンホ芸術院会長

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

ユ・ジョンホ大韓民国芸術院会長

総体的な非正常。どこから手をつけていいのか分からない状況だ。多くの人は、韓国社会に蔓延する責任意識の不在を挙げたりしている。大韓民国芸術院会長であるユ・ジョンホ延世(ヨンセ)大学客員教授(79)は、まずは自らを振り返るべきだといった。「他人のせいにする前に、自分自身は、自らの責任を全うして生きてきたのか問うてみなければならない」ということだ。ユ教授自身も、そのようにできなかったと告白した。ユ会長は、バランスの取れた分析と無駄のない文章で名高い文学評論家であり英文学者だ。

--国民の衝撃が大きい。

「1から10まで全て不十分だった。総体的な非正常というほかはない。問題は今回のように、安全不感症によって災難になりやすい施設が1つや2つではないという点だ。セウォル号だけでなく、韓国社会のあらゆる分野があのようではないかと想像すると、ぞっとするような感じを禁じえない。いつ起きるかもしれない大型の不発爆弾を頭にのせて暮らしているという事実を、改めて悟った心情というか」


--船長の行動は理解し難い。

「小説でも船長はよく、最初に船に乗って最後に降りる人として描かれる。航海中の規律や秩序維持のために懲戒権などの強力な権限を与える理由は、それだけ責任が重大だからだ。セウォル号の船長は残念ながら自らの責任に背いた。概念も原則もなかった。だが、その人だけを恨むことはできないと思う」

--責任の範囲をどこまで見るべきなのか。

「船長の罪がないとか処罰するのは止めようという話ではない。フランスの実存主義の哲学者サルトルは『すべての人は、すべてのことに対して責任がある』と言った。セウォル号のような事件について、本当に虚心坦壊に、断固として、また何の罪の意識もなく他人を批判できる人が果たして何人いるのか自問してみようということだ。『君はどうなのか』と誰かが尋ねれば、実は『私も自分の義務を果たせなかった』と答えるほかはない。学校で適当に時間を過ごしながら一生を過ごしたのに、誰をとがめることができようか。今回の事故は、実は私たち全体の罪、私たち全体の無責任の結果だ。誰か1人を攻撃してみても何の効果もない」

--責任意識を回復する方法は。

「イ・ホング元首相が英国大使職を終えて帰ってきて、こういう話をしたことがある。英国に行く前は、自分たちももう少し努力すれば英国のような先進社会に間もなくなれると思ったが、英国の人々の行動や考え方、生きる姿を直接見ていると、自分たちはまだしばらく遠いという気がしたとのことだ。国民それぞれが責任意識を備えることが、それだけ難しいという話だった。私たちはまず他人に対する礼儀や配慮があまりに不足している。自ら尊いとする自尊心もない」

--どのようにすべきだろうか。

「社会の上層部が模範を見せるべきだ。上層部の文化や価値観を吸収しようとするのが下層階の欲望だ。意識改革の運動のようなことを大々的に行ってできることではない。過去、社会主義国家で私的な人間ではなく公的倫理心が強い人間を意図的に作り出そうとしたが、決して成功したわけではなかった。短期間に強要された教育では、責任意識は生まれないということだ。家庭教育、学校教育、社会教育を正常化して、少しずつ良くなるという感じがするように変えていくしかないと思う。数十年かかることだ」



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