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セウォル号の惨事、根本的な問題点を聞く(三)…高麗大教授

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

コ・セフン高麗(コリョ)大学公共行政学部教授

セウォル号事件は、韓国社会の危機管理能力をそのまま表した。船主の無分別な私益追求と、彼らを監督すべき関係機関の無責任が招いた惨事だ。リレーインタビュー3回目のコ・セフン高麗(コリョ)大学公共行政学部教授(59)は「責任意識の失墜」を原因に挙げた。社会の上層部はノブレス・オブリージュ(位高ければ徳高きを要すの意)の伝統がなく、下層部は主人意識(オーナーシップ)がないといった。コ教授は、失墜した責任意識を生き返らせるために「相殺力(countervailing power)の制度化」が必要だといった。韓国社会の各領域でどちらか一方の独走を防ぐ牽制と均衡の原理が動けば、今回のような事故の再発を防げるということだ。

コ教授は米国オハイオ州立大で英国労働党の理念と政策をテーマに博士学位を受けた。分かち合いと施しの伝統が浅い社会で相殺力の概念を通じて福祉システムを備える作業に関心を持つようになった彼の話を聞いてみた。

--何がどこから間違っていたのか。


「誰も責任を負う人がおらずに発生した事件だ。船舶の安全運航に関連して誰一人として責任感をまともに発揮できなかった。責任意識の失墜が長年のうちに固まって1つの文化現象になってしまった。韓国社会の上層部は自ら模範を見せるノブレス・オブリージュの伝統がなく、下層部は自らの参加経験が不足しており自分たちが社会の主人だという意識が脆弱だ。政府は事件解決の段階ごとに不誠実でアマチュア的だった」

--責任意識が消えた理由は。

「朝鮮時代や日帝治下、権威主義政権などを経て、私たちは民主主義に必要な自律性を体得できなかった。上司の命令に服従するように上からの指示を主に従った。言いかえれば、政治的意思決定や国家運営が下部の意を反映して行われなかった。むしろ政治が下部を形成した。たとえば政治が財閥も作り、大企業と中小企業の間の関係も設定し、労組問題も主導する形だった。私たちが経験したことは権威主義だけと言える。民主化も同じだ。市民社会が十分に成熟していない状態で権威主義に対する『アンチテーゼ(不正)』として達成された。うわべだけが民主主義であって中身は空っぽだ。ひと言で言うなら韓国は過大成長国家だ」

--国家の機能が肥大化したという意味なのか。

「『大きい政府』ということではない。韓国の公務員の数字や公共部門の予算規模は先進国に比べれば小さい方だ。社会の全領域にかけて政治の比重が過度に大きいということだ。韓国は政治が全てを左右する国だ。どんなイシューでも政治の力を借りてこそ一挙に解決される。だから芸能人でも大学教授でも運動選手でも、皆が政治をしようとするのではないか」

--このような問題に対する解決策があるだろうか。

「誰も責任を負う人がいなければ、強制的に責任を負うようにする構造を作らなければならない。それで『相殺力の制度化』が必要だ。社会の各領域で牽制と均衡がとれるように制度を整えようということだ。惨事による悲しみは、犠牲者への憐憫、過ちを犯した人々への怒りを呼び起こし、大衆を連帯するようにする。だが悲しみの感情がいつまでも続くことはない。結局かすんできて、連帯は力を失う。だからこそ片方の一方的な独走を防ぐ牽制装置を制度化しなければならない」

--制度化には時間がかかるはずだが。

「結局、大統領が決心するしかない。帝王的大統領という話が出るほど強力な韓国の大統領制に、むしろ問題解決の可能性があると見ている。相殺力の制度化は、短期間では難しい。大統領が改革を通じて制度化を操り上げなければならない。容易なことではない。だが解決法は複雑ではない。実行が困難なだけだ」



【特集】韓国旅客船「セウォル」沈没事故

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