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セウォル号の惨事、根本的な問題点を聞く(二)…高麗大教授

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

イ・スンファン教授

公と私の問題、職業倫理の育成といった徳目は教科書の中でも存在した。リレーインタビューの2人目は高麗(コリョ)大学哲学科のイ・スンファン教授だ。彼は公共意識の不足を痛感している。より包括的には、民主主義の問題だともいった。不公正な慣行が一般化する中で結局、基礎的な倫理の喪失と惨事につながったということだ。

国立台湾大学で修士を、ハワイ大学で博士をとった彼は、東アジアの伝統儒教から公と私の関係を研究してきた。「パブリックスペースの行動倫理」という題名で最近、ネイバー文化財団「文化の内と外」の講演もした。「公人たちの嘘」が蔓延する風潮を嘆く彼の話を聞いてみた。

--セウォル号沈没、どのように見ているか。


「韓国は貿易規模が世界10位圏だ。経済的に先進国かは分からないが、安全不感症や腐敗程度はほとんど後進国レベルだ。今回の事件で露呈したではないか。500人が死亡した1995年の三豊デパート崩壊よりも規模は小さいと言える。だが20年の歳月が流れたのに、いまだ安全システムがこの程度だということは本当に嘆かわしいことだ。実際に後進国なのだから、後進国であることを率直に認めなければならない。華やかな成長の外皮に隠れた恥ずかしい内面を暴かなければならない。手術でえぐり取れるものはえぐり取り、それ以後に山積した問題を冷静に解決していかなければならない」

--なぜこのような事故が発生するのだろうか。

「捜査を通じて徹底的に明らかにするべきだが、船舶運航に関係した人々が大なり小なり規則や原則をことごとく破ったり無視したりした結果だ。目先の利益だけを照らしていたようだ。船舶安全検査、規定に沿った貨物積載、船長と船員の責任意識の発動など、どれ1つとして正しく行われていない」

--セウォル号の出港から沈没後までの過程で、どうしたら全ての原則が無視されうるのだろうか。

「たとえば船員が万死を冒して乗客を救おうとすれば責任意識と勇気、共同体への尊重と他人への配慮などそれこそ人間の基本的な徳目が作用するべきだった。東洋思想で徳性あるいは良心という人間の本来の心が発揮されなかった。道徳教育が正しく行われなかった結果であり、韓国社会全体の問題でもある。高度成長の過程で私たちは社会構成員に徳性の発現を深刻に要求しなかった。人格的な徳の発現を通した名誉ある人間の道は後回しにしていたのではないのか。誰も彼もが一発主義、縁故主義、情実主義、日和見主義に陥って、成金にもなろうとした。韓国の近代化過程は、人間性を育てるのには、あまりに浅はかな土壌だった」

--ソーシャルネットワークサービス(SNS)でのデマ、一部の公人たちの不適切な言動などは眉をひそめたくなるものだ。

「問題を起こした人々の心理状態がそれぞれ違うので一般化するのは難しい。民間ダイバーを詐称してデマをまき散らして遺族の心を傷つけた20代女性の場合、恥を感じられない厚顔無恥の状態であるようだ。自らの人格に関して『こういう人になるべきだ』という価値基準が形成されていなかったり、共同体が求める価値基準が個人に内面化されていなかったりして生まれる現象だ」

--第2、第3のセウォル号事件を防ごうとするなら。

「すべき事があまりに多くて、1度ですべての問題を解決できないだろう。国民各自が民主的な『心の習慣(habit of heart)』を体得するのが何より重要だと見られる。選挙の時に1票を投じるからといって民主主義なのではない。各自が自身の領域で責任を明確に遂行しながら、共同体に有益な尊敬できるほどの人を公職者として選ばなければならない。それでこそ対話と疎通が可能になり、配慮と寛容があふれて今回の事故を招いた不公正で偏向的な慣行、独善や不通、成果至上主義をなくすことができる」

--言葉のように容易ではないようだが。

「先進国になろうとするなら直さなければならない。今回しっかりできなければ先進国にはなれない。率直に言って、最も心配なのは原子力発電所だ。運営会社と公職者が1つの腐敗の輪に絡まっているのではないか。消えた火ももう一度見るという姿勢で振り返ってみよう。今と同じように行けば原子力発電所の事故も起きると思う。もう一度言うが、妙案はない。未来の世代のことを考えて、黙々と自分の本分を尽くさなければならない。効果はゆっくりと現れるだろう。小さな実質が、蓄積されなければならない」



【特集】韓国旅客船「セウォル」沈没事故

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