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【社説】きちんとした国民安全システムあるべき

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
あきれるほどだ。16日、国内最大という6925トンクルーズ船のセウォル号が、全羅南道(チョンラナムド)の珍島(チンド)近海で転覆する大型事故が起きたのに、備えつけの救命ボート42艇のうち2艇しかまともに使われなかった。ライフジャケットをもらえず足だけで泳いでいた生徒もいた。475人も乗船していたのに、事故時の対処要領をきちんと伝える安全教育もなかった。船長と一部の船員は乗客の脱出を助けるどころか自分たちが先に脱出した。どれ1つとして正常なものがない。1つでも正常に行われていれば不明者を相当減らせたという悔恨の念でいっぱいだ。

クルーズ船会社が初期対応に失敗して数多くの不明者の発生につながった今回の事故は、緊急事故発生時の対処要領、船員安全業務指針など、緊急状況に対処する安全マニュアルがないか、あってもまともに動かないということを見せつけてくれる。大型クルーズ船がこの程度ならば、ほかの場所の安全システムがどんなレベルなのかは察するに難くない。

政府当局も同じだ。きちんとした政府ならば、こうした緊急事故が発生した時に国民を安心させて事態を迅速に収拾できる詳細なマニュアルを備えているのはもちろん、平素から訓練もしっかり行ってきてこそ正しい。こうした安全システムをまともに備えてこそ先進国と言えるのではないか。このすべての状況から見ると、今回の事故は体系的な安全マニュアルと安全意識の不在が招いた人災にならざるをえない。装備よりも人材の問題であり、その人材をまともに動かす安全システムの不在が最も問題だった。国民は不明者の規模と共にこうした安全システムの不在の前に、さらに大きな衝撃を受けている。これは国民を不安にさせるには充分だ。


大きな事故が起きれば当然、管理・監督強化ぐらいの対策が登場する。だが、この程度では安全に対する国民の不安と不信を解消するのには力不足だ。再びこのような悲劇が再発しないように、十分な時間と努力を重ねて先進型な国民安全システムを新しく組み立てなければならない。このために民間と政府が力を合わせて交通・自然災害・火災・食品など国民生活の各分野にわたって状況別の安全マニュアルを点検したり新たに整えたりして、総合的で体系的な国民安全システムを構築しなければならない。必要ならば民間と政府が力を合わせてシナジー効果を出せるように国民安全委員会を作る案も検討すべきだ。

より一層重要なことは、こうして整えた安全マニュアルとシステムを関係者がしっかり身につけることだ。したがって各種の安全問題については、戦争やテロに備える水準で随時の安全教育・訓練の制度化が必要だ。例えば先進国の場合、クルーズ船の乗客については乗船直前の一定時間に教育・訓練を義務化しており、船員は随時安全訓練を受けている。国会も積極的な立法化を通じて国民安全システムの構築を後押しするべきだ。国民の安全はいかなる理由でも疎かにすることはできない。悲劇的事故が私たちに与える痛恨の教訓だ。



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