#釜山(プサン)地域の広告代理店で仕事をするユン・ミヒさん(29、女性)は自称「演劇マニア」だ。いつも公演情報サイトで観る演劇やミュージカル公演などがあるか探してみる。時々、午前8時頃に釜山駅から出発するKTXに乗り込む。ひたすら演劇を観るためだ。釜山にも南浦洞(ナムポドン)や広安里(クァンアルリ)などに大小の公演会場があるが、その多様性はソウル大学路(テハンノ)には及ばない。ユンさんは「2カ月に1度ぐらい、朝に釜山を出発してソウルで友人と演劇を観てお茶をして夕方に帰ってくる」と話した。彼女はKTXが作り出した「遠征公演観覧客」だった。
#「ソン代理、今度の土曜日にランチの約束はありますか。時間があればご一緒しませんか?」。スマートフォンの画面にカカオトークのメッセージが浮かび上がった。発信者はソウル中区(チュング)の取引先の社員。ソン代理はしばらくスケジュールをざっと見た。その日の夕方に蔚山(ウルサン)で高校の同窓らと夕食をともにするところだった。大邱(テグ)で朝食、ソウルでランチを、蔚山で夕食をとらなければならない状況。移動距離は680キロメートルだ。それでも可能だ。ソン代理は「12時半ごろにお目にかかります」と答え、すぐにスマートフォンでKTXの切符を買った。彼は「営業のためにあちこち飛び回っていると一日3食を別の都市で食べるスケジュールを組むこと自体が全然おかしくない」と話した。
4月1日は、KTX運営10周年だ。これまでKTXは地球6000周分にあたる2億4000万キロメートルを走った。一日平均で15万人ずつ、計4億1400万人がKTXを利用した。国民1人あたり8回以上、KTXに乗ったことになる。
最高時速350キロで走る列車は国民生活と意識を完全に変えた。一日1回ソウル-釜山をノンストップ運行する列車は2時間17分で乗客をソウルのど真中から釜山都心に運ぶ。それと共に「同じ生活圏」という認識がますます強くなった。
もちろん以前も飛行機があった。だが飛行機はいまだに高い。KTXのように「国民運送手段」に席を占めるにはちょっと不足している。その上、天気が怪しければ遅れるのが常だ。これに比べて国内のKTXはほとんど正確に定時運行する。定時運行率は99.88%だ。それで「約束」が生命線であるビジネスマンは主にKTXを利用する。
会社員がKTXを好む理由はほかにもある。事実、飛行機は空港から別の交通手段に乗り換えて都心に移動しなければならないという短所があるが、それでも全体的にKTXよりは速い。これにも増して会社員は、出張費を会社で出してもらってもほとんどが飛行機よりもKTXを選ぶ。電車の中で仕事ができるという点のためだ。飛行機とは違いKTXの中ではノートブックPCをつけることができ、列車間のデッキに出て行って携帯電話で通話もできる。時間やデータ容量が制限されているが、インターネットも使える。
釜山銀行のパク・ヨンボン副銀行長(54)はまさにこうした点のために、いつも飛行機の代わりにKTXを利用する。1カ月5~6回のソウル出張ごとにKTXに乗る。彼は「何より走る列車の中でノートブックPCを利用して決裁までできるというのが長所」と話した。
KTXは文化生活を楽しむ大学生ら20-30代の地方の若者たちにも魅力的な移動手段として位置を確立した。地方に住む彼らにとってソウルは「遊べるもの」があふれる魅力的な都市だ。「弘大(ホンデ)文化」と呼ばれるインディーズバンドやクラブ、大学路にある小劇場のように感性を刺激するコンテンツが豊富だ。光化門(クァンファムン)一帯や明洞(ミョンドン)も1回ぐらい立ち寄りたい名所に選ばれる。KTXが導入されてソウルまで2時間30分で行けるようになると20-30代は躊躇なくソウル行きのチケットを買っている。
反対の現象もある。KTXに乗って地方都市を訪れる人がぐんと増えた。このためKTXと地方の「シティツアーバス」を連係したプログラムが人気だ。ブームを継続しようと釜山観光公社はソウル-釜山のKTX搭乗客に釜山シティツアーバスを20%割引している。このバスは30分間隔で釜山駅を出発して海雲台(ヘウンデ)や太宗台(テジョンデ)など釜山の名所を見て回る2階建てバスだ。釜山観光公社のチェ・ブリム次長は「昨年のシティツアー乗客24万人中10万人程度がKTXに乗って来た」としながら「特に夏には夜の列車で訪れて夜通し海雲台で遊び、翌日の朝ソウルなどに戻る20代もかなりいた。10年前には見られなかった現象」と話した。
地球6000周走ったKTX…韓国民1人あたり8回乗った計算(冂)
#「ソン代理、今度の土曜日にランチの約束はありますか。時間があればご一緒しませんか?」。スマートフォンの画面にカカオトークのメッセージが浮かび上がった。発信者はソウル中区(チュング)の取引先の社員。ソン代理はしばらくスケジュールをざっと見た。その日の夕方に蔚山(ウルサン)で高校の同窓らと夕食をともにするところだった。大邱(テグ)で朝食、ソウルでランチを、蔚山で夕食をとらなければならない状況。移動距離は680キロメートルだ。それでも可能だ。ソン代理は「12時半ごろにお目にかかります」と答え、すぐにスマートフォンでKTXの切符を買った。彼は「営業のためにあちこち飛び回っていると一日3食を別の都市で食べるスケジュールを組むこと自体が全然おかしくない」と話した。
4月1日は、KTX運営10周年だ。これまでKTXは地球6000周分にあたる2億4000万キロメートルを走った。一日平均で15万人ずつ、計4億1400万人がKTXを利用した。国民1人あたり8回以上、KTXに乗ったことになる。
最高時速350キロで走る列車は国民生活と意識を完全に変えた。一日1回ソウル-釜山をノンストップ運行する列車は2時間17分で乗客をソウルのど真中から釜山都心に運ぶ。それと共に「同じ生活圏」という認識がますます強くなった。
もちろん以前も飛行機があった。だが飛行機はいまだに高い。KTXのように「国民運送手段」に席を占めるにはちょっと不足している。その上、天気が怪しければ遅れるのが常だ。これに比べて国内のKTXはほとんど正確に定時運行する。定時運行率は99.88%だ。それで「約束」が生命線であるビジネスマンは主にKTXを利用する。
会社員がKTXを好む理由はほかにもある。事実、飛行機は空港から別の交通手段に乗り換えて都心に移動しなければならないという短所があるが、それでも全体的にKTXよりは速い。これにも増して会社員は、出張費を会社で出してもらってもほとんどが飛行機よりもKTXを選ぶ。電車の中で仕事ができるという点のためだ。飛行機とは違いKTXの中ではノートブックPCをつけることができ、列車間のデッキに出て行って携帯電話で通話もできる。時間やデータ容量が制限されているが、インターネットも使える。
釜山銀行のパク・ヨンボン副銀行長(54)はまさにこうした点のために、いつも飛行機の代わりにKTXを利用する。1カ月5~6回のソウル出張ごとにKTXに乗る。彼は「何より走る列車の中でノートブックPCを利用して決裁までできるというのが長所」と話した。
KTXは文化生活を楽しむ大学生ら20-30代の地方の若者たちにも魅力的な移動手段として位置を確立した。地方に住む彼らにとってソウルは「遊べるもの」があふれる魅力的な都市だ。「弘大(ホンデ)文化」と呼ばれるインディーズバンドやクラブ、大学路にある小劇場のように感性を刺激するコンテンツが豊富だ。光化門(クァンファムン)一帯や明洞(ミョンドン)も1回ぐらい立ち寄りたい名所に選ばれる。KTXが導入されてソウルまで2時間30分で行けるようになると20-30代は躊躇なくソウル行きのチケットを買っている。
反対の現象もある。KTXに乗って地方都市を訪れる人がぐんと増えた。このためKTXと地方の「シティツアーバス」を連係したプログラムが人気だ。ブームを継続しようと釜山観光公社はソウル-釜山のKTX搭乗客に釜山シティツアーバスを20%割引している。このバスは30分間隔で釜山駅を出発して海雲台(ヘウンデ)や太宗台(テジョンデ)など釜山の名所を見て回る2階建てバスだ。釜山観光公社のチェ・ブリム次長は「昨年のシティツアー乗客24万人中10万人程度がKTXに乗って来た」としながら「特に夏には夜の列車で訪れて夜通し海雲台で遊び、翌日の朝ソウルなどに戻る20代もかなりいた。10年前には見られなかった現象」と話した。
地球6000周走ったKTX…韓国民1人あたり8回乗った計算(冂)
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