ロシアのプーチン大統領がクリミア自治共和国のロシア合併条約に署名した18日。欧州と米国の非難声明があふれる中で、プーチン大統領のある側近が静かに日本へと向かった。プーチン氏の長年の同志でありロシア最大国営石油企業ロスネフチ(Rosneft)のイーゴリ・セーチンCEO(最高経営者)だった。彼は翌日、東京で記者たちを集めて「欧州と米国が、ロシアを孤立させようとすればモスクワはアジアに目を向けるだろう」とトーンを高めた。ロシアのシンクタンクである戦略技術分析センター(CAST)の中国専門家ワシリー・カシン氏は、あるメディアとのインタビューで「西側との関係が悪化するほどロシアは中国に近づき、中国から支持さえもらえば誰もロシアが孤立したとは言えないだろう」と一層強めた。
ロシアの高位要人が相次いでこのような発言をした背景は何か。国際エネルギー専門家たちは「中‐露の天然ガスパイプライン」に注目する。両国は東シベリアのコビクタガス田とサハ共和国内のチャヤンダガス田を中国東北3省~北京を経て山東半島までパイプで連結するために2年余りの間本格的な価格交渉を繰り広げてきた。実際、セーチン氏もこの日の会見で「5月に予定されたプーチン大統領の中国訪問で天然ガスの最終契約が締結されればグローバル・パワーが変わる、そうなると西側は必要なくなる」と大声を上げた。
中露のエネルギー同盟が急流に乗っている。韓国もさらに遅くなる前に、この議論に飛び込まなければならないという指摘が出ている。国際政界では5月の中露首脳会談で数年越しの天然ガス価格交渉が妥結すると見通している。両国の利害関係が、いつにも増して合致しているからだ。まずロシアはウクライナ事態以後、エネルギー輸出で欧州依存度を低くしなければならない状態だ。石油・ガスはロシア輸出の70%、連邦政府の財政収入の52%を占める。これらのエネルギーを最も多く買っていく地域が欧州だ。国際エネルギー機構(IEA)によればロシア産原油の75%が欧州へ向かう。アジアの消化分量は15%に過ぎない。天然ガスの場合、アジアに輸出する物量は1100万トンと微小だ。
中国は環境問題が足かせとなっている。これまでは天然ガスに比べて価格が安い石炭を主に使い続けていた。問題は石炭がスモッグの原因だという点だ。さらに最近、中国の若い層の間では「空気がきれいところで子供たちを育てよう」と移民を考える人たちが増加している。エネルギー専門家である英国オックスフォードエネルギー研究所のペク・クンウク専任研究委員は「燃料使用問題が社会の安定性の問題に拡大する中で、中国内にはスモッグの原因である石炭の使用を減らし天然ガス使用比重を現在の5~6%から2倍以上増やさなければならないという共感ができている」と説明した。
両国政府の動きも速くなっている。中国外交界では輸入価格の負担を低くするためにロシアに、ある種の財政的インセンティブを提案したという話が出ている。中国内のある消息筋は「両国政府間の緊密な接触が行われており、最後に残った価格問題が政治的に解決される公算が大きくなった」と伝えた。中露は価格交渉に署名し次第、すぐに工事に入って早ければ2018年に東部シベリアと山東半島をつなぐ4000キロメートルのパイプラインを完成する計画だ。韓半島(朝鮮半島)から西海(ソヘ、黄海)を超えて315キロメートル前方までロシアの天然ガスが届けられることになるだ。
このため国際エネルギー専門家たちは今が中露パイプライン交渉に韓国が参入する好機だと指摘している。目の前に整えられる「資源の食卓」を、対岸の火事を見物するように眺めているのではなく、このパイプラインを韓国に延長して「多目的資源外交カード」として活用しろということだ。
専門家たちは山東に入ってきたパイプラインを仁川(インチョン)まで延長する場合、韓国には大きく4つの実益があると展望する。まず輸入先の多角化効果を享受できる。中東・豪州などほかの輸入先との取り引き時の価格交渉の権限が大きくなるのだ。ペク研究委員は「大型船舶でLNGを全量持ってくる状況と、パイプライン供給先を確保した状況では価格交渉力で大きな違いが生じる」と説明した。特に山東から仁川までの距離は300キロメートル余りに過ぎず、海底パイプラインを連結するのに費用負担は大きくない。李明博(イ・ミョンバク)政権が推進したウラジオストク~北朝鮮内陸~束草(ソクチョ)ラインが850キロメートルであるのに比較すれば、連結区間ははるかに短い。西海は水深が平均55メートルと浅く、パイプライン工事に技術的な制約もない。
仁川に持ってきたロシアのガス管は対北朝鮮交渉のカードにも活用できる。対外経済政策研究院のイ・ジェヨン欧米・ユーラシア室長は「非核化を前提に、仁川から開城(ケソン)を経て平壌(ピョンヤン)に連結するパイプライン建設を北朝鮮に提案できる」と説明した。エネルギー不足で困りきっている北朝鮮への“ニンジン”策になるということだ。イ室長は「ウラジオストク-北朝鮮内陸-束草ラインが、対北朝鮮関係によって供給安定性を担保できなかったのに比べ、仁川-開城-平壌パイプラインはこういう心配ないという点も長所」と話した。
北朝鮮のほかに日本にも売れる。国内には長さ2400キロメートルの内陸循環ガスパイプラインがある。釜山(プサン)と日本の九州地域を連結すればロシア-中国-韓国-日本を経た北東アジア天然ガス同盟体の結成が可能になる。日本は電力発電の30%をLNG燃料に依存しているが、韓国のようにLNGを全量船舶で輸入すると世界で最も高い天然ガスを使う国になった。実際、メキシコ湾の産地基準ではガス1MMBtuの平均価格が4ドルだが、日本にはこの4.5倍高い価格で導入されている。
(中央SUNDAY第368号)
露-中-韓のガス잊“1石4鳥“なのに…手放しの韓国政府(2)
ロシアの高位要人が相次いでこのような発言をした背景は何か。国際エネルギー専門家たちは「中‐露の天然ガスパイプライン」に注目する。両国は東シベリアのコビクタガス田とサハ共和国内のチャヤンダガス田を中国東北3省~北京を経て山東半島までパイプで連結するために2年余りの間本格的な価格交渉を繰り広げてきた。実際、セーチン氏もこの日の会見で「5月に予定されたプーチン大統領の中国訪問で天然ガスの最終契約が締結されればグローバル・パワーが変わる、そうなると西側は必要なくなる」と大声を上げた。
中露のエネルギー同盟が急流に乗っている。韓国もさらに遅くなる前に、この議論に飛び込まなければならないという指摘が出ている。国際政界では5月の中露首脳会談で数年越しの天然ガス価格交渉が妥結すると見通している。両国の利害関係が、いつにも増して合致しているからだ。まずロシアはウクライナ事態以後、エネルギー輸出で欧州依存度を低くしなければならない状態だ。石油・ガスはロシア輸出の70%、連邦政府の財政収入の52%を占める。これらのエネルギーを最も多く買っていく地域が欧州だ。国際エネルギー機構(IEA)によればロシア産原油の75%が欧州へ向かう。アジアの消化分量は15%に過ぎない。天然ガスの場合、アジアに輸出する物量は1100万トンと微小だ。
中国は環境問題が足かせとなっている。これまでは天然ガスに比べて価格が安い石炭を主に使い続けていた。問題は石炭がスモッグの原因だという点だ。さらに最近、中国の若い層の間では「空気がきれいところで子供たちを育てよう」と移民を考える人たちが増加している。エネルギー専門家である英国オックスフォードエネルギー研究所のペク・クンウク専任研究委員は「燃料使用問題が社会の安定性の問題に拡大する中で、中国内にはスモッグの原因である石炭の使用を減らし天然ガス使用比重を現在の5~6%から2倍以上増やさなければならないという共感ができている」と説明した。
両国政府の動きも速くなっている。中国外交界では輸入価格の負担を低くするためにロシアに、ある種の財政的インセンティブを提案したという話が出ている。中国内のある消息筋は「両国政府間の緊密な接触が行われており、最後に残った価格問題が政治的に解決される公算が大きくなった」と伝えた。中露は価格交渉に署名し次第、すぐに工事に入って早ければ2018年に東部シベリアと山東半島をつなぐ4000キロメートルのパイプラインを完成する計画だ。韓半島(朝鮮半島)から西海(ソヘ、黄海)を超えて315キロメートル前方までロシアの天然ガスが届けられることになるだ。
このため国際エネルギー専門家たちは今が中露パイプライン交渉に韓国が参入する好機だと指摘している。目の前に整えられる「資源の食卓」を、対岸の火事を見物するように眺めているのではなく、このパイプラインを韓国に延長して「多目的資源外交カード」として活用しろということだ。
専門家たちは山東に入ってきたパイプラインを仁川(インチョン)まで延長する場合、韓国には大きく4つの実益があると展望する。まず輸入先の多角化効果を享受できる。中東・豪州などほかの輸入先との取り引き時の価格交渉の権限が大きくなるのだ。ペク研究委員は「大型船舶でLNGを全量持ってくる状況と、パイプライン供給先を確保した状況では価格交渉力で大きな違いが生じる」と説明した。特に山東から仁川までの距離は300キロメートル余りに過ぎず、海底パイプラインを連結するのに費用負担は大きくない。李明博(イ・ミョンバク)政権が推進したウラジオストク~北朝鮮内陸~束草(ソクチョ)ラインが850キロメートルであるのに比較すれば、連結区間ははるかに短い。西海は水深が平均55メートルと浅く、パイプライン工事に技術的な制約もない。
仁川に持ってきたロシアのガス管は対北朝鮮交渉のカードにも活用できる。対外経済政策研究院のイ・ジェヨン欧米・ユーラシア室長は「非核化を前提に、仁川から開城(ケソン)を経て平壌(ピョンヤン)に連結するパイプライン建設を北朝鮮に提案できる」と説明した。エネルギー不足で困りきっている北朝鮮への“ニンジン”策になるということだ。イ室長は「ウラジオストク-北朝鮮内陸-束草ラインが、対北朝鮮関係によって供給安定性を担保できなかったのに比べ、仁川-開城-平壌パイプラインはこういう心配ないという点も長所」と話した。
北朝鮮のほかに日本にも売れる。国内には長さ2400キロメートルの内陸循環ガスパイプラインがある。釜山(プサン)と日本の九州地域を連結すればロシア-中国-韓国-日本を経た北東アジア天然ガス同盟体の結成が可能になる。日本は電力発電の30%をLNG燃料に依存しているが、韓国のようにLNGを全量船舶で輸入すると世界で最も高い天然ガスを使う国になった。実際、メキシコ湾の産地基準ではガス1MMBtuの平均価格が4ドルだが、日本にはこの4.5倍高い価格で導入されている。
(中央SUNDAY第368号)
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