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スパイ証拠操作事件、根元から揺らぐ韓国国家情報院の地位

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
南在俊(ナム・ジェジュン)院長体制の国家情報院が、深いどん底に陥った。スパイ証拠操作事件で大韓民国代表情報機関としての地位が根元から揺らいでいる。特に、対共産主義捜査と対北朝鮮工作ラインが事件に共にかかわったことがあらわれると「組織を動かす両輪が泥沼にはまった」という話が内部から出ている。

検察捜査は▼ソウル市スパイ集団事件を初めから捜査してきた国家情報院の対共捜査チームと▼彼らに操作文書を送った対北朝鮮工作ラインに焦点を合わせている。今回の文書偽造論議の国内の指令塔は、内谷洞(ネゴクトン)の国家情報院本部の海外工作パートだというのが内部事情に明るい関係者の説明だ。本来この事件を捜査していた対共捜査チームは、スパイで起訴したY氏に無罪が宣告されるや海外工作パートに「Y氏のスパイ疑惑を立証する証拠を確保してほしい」とSOSを打った可能性が大きい。海外工作パートは対共捜査チームの要求を受け入れて瀋陽駐在のI領事に指示をした主体だ。

国家情報院の関係者は「I氏のように領事として派遣された海外工作官は、対北朝鮮情報や駐在国の政府対象の情報収集をするのが基本業務だが、本部指示により対共捜査に必要な証拠や書類を取りまとめるのも重要な業務」と話した。暗号電文によって海外工作員にその時その時に必要な工作活動を指示する部署が本部海外工作パートだということだ。


I氏のような対共捜査要員を領事として送り出したのは、それ相応の事情があったという。ここ数年間に脱北者として偽装した北朝鮮工作員の侵入事例が急増し、これに対応する必要性が切実になった。北朝鮮・中国の境界地域で事前に機密情報を入手して遮断して探し出すべきだが、この際に国家情報院から派遣した現地要員だけでは力量不足だということだ。現地事情に明るく人脈がある朝鮮族と脱北者の協力が必須だ。

国家情報院の関係者は「1990年代後半から北朝鮮・中国の境界隣接地域の対北朝鮮『ヒューミント(Humint、人的ネットワークによる収集情報)』網が崩れて困難に直面している」とした。金大中(キム・デジュン)-盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の対北朝鮮宥和政策のために、現地活動の情報機関要員を撤収するなど組織網に問題が生じたという観測が支配的だ。一部では李明博(イ・ミョンバク)政権時代に元世勲(ウォン・セフン)院長体制の国家情報院が専門性を考慮しない頻繁な人事でヒューミントを崩してしまったという話も出てくる。

現地協力者が渡した文書についての偽造の有無確認や本部レベルの徹底した検証システムが作動しないことについては、国家情報院の元・現職員さえ理解できないと口をそろえる。裁判証拠として提示されれば後であらわれることが明らかなのに偽造文書を提出するというのは国家情報院の慣行上合わないということだ。

国家情報院次長出身である成均館(ソンギュングァン)大学国家戦略大学のヨム・ドンジェ院長は「情報活動をしてみると協力者やブローカーにだまされることは茶飯事」と話した。米国や英国が2003年にイラクのフセイン政権の大量殺傷武器(WMD)疑惑によって戦争を行ったが、結局誤った情報だと明らかになったのは良い教訓だということだ。しかしヨム院長は「本部から催促すれば現地工作員はそれに振り回されるが、その情報報告を検証するのは結局デスク(ソウルの指揮ライン)の役割」と指摘した。

また別の国家情報院関係者は「幹部級で偽造事実を知りながら見過ごしたとすれば、南在俊院長も道義的責任を免れないという圧迫を受けることになるだろう」と話した。

一部では南院長体制になって以降、対共ドライブがかかりながら無理を強いたという主張も出ている。軍情報機関の関係者は「国家情報院の場合、4月の定期人事を前に対共捜査や工作事業の成果を見せようと一部の幹部が焦っていた事例がある」と話した。



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