冬季オリンピックが開かれているロシアのソチには「国家代表応援団」がいない。代わりに「フィギュアクイーン」キム・ヨナ（２４）の引退競技が近づくにつれ韓国からのファンが増えている。個人で時間と費用をかけたキム・ヨナファンたちだ。

１８日、インターネットは「キム・ヨナ対大韓民国」の対決構図で騒がしかった。キム・ヨナを広告モデルに起用したある企業が先月、キム・ヨナを応援する広告映像をＹｏｕＴｕｂｅ（ユーチューブ）に上げた。あるネットユーザーがこれに対するパロディ動画を作って議論になった。

この企業の広告映像は「君はキム・ヨナではない。君は世の中で最も美しい大韓民国だ。君は１人の大韓民国だ」という強力なコピーを使った。大韓民国代表ブランドのキム・ヨナに対する賛辞を、そして彼女が金メダルを取ることを願う思いを込めた。国家主義（国家を最も優先的存在とする認識）を前面に出して大衆の感性に食い込む技法だ。


この広告よりもパロディ動画がより多くの共感を得た。この映像は「あなたはフィギュア弱小国の選手キム・ヨナです。いつも最善を尽くすチャンピオンであり、若い後輩のために飛躍する先駆者です。あなたはキム・ヨナです。あなたであることに感謝します」という文面が登場する。「君」の代わりに「あなた」という尊称を使い、「大韓民国」の代わりに「キム・ヨナ」に主体が変わった。金メダルを期待するよりも、ただキム・ヨナであることに感謝するという忠心を入れた。

パロディ動画には過去、キム・ヨナが寒いスケートリンクで冷えた耳を温めながら滑り、多くの人の中で練習して倒れるシーンが登場する。また国際大会で予想外の低い点数を受けて残念そうに首をかしげる姿もある。インフラが劣悪で、世界フィギュア界で力を出せない大韓民国でキム・ヨナが「フィギュアクイーン」として登場するまでの過程を入れた。

パロディ動画には、キム・ヨナが成功するまで国があまり支援していなかったというメッセージが含まれている。ファンたちは「大韓民国ではなくキム・ヨナだから応援する」ということだ。韓国代表チームよりもロシアに帰化したビクトール・アン（２９、韓国名アン・ヒョンス）をもっと応援する珍現象が起きたのに続き、「反国家主義」第２ラウンドが続いている。

体育哲学者キム・ジョンヒョ博士は「今までオリンピックは国家間競争というフレームで維持されてきたが、今は食傷気味だ。人々は個人の成功神話に焦点を合わせている」として「キム・ヨナの広告に対する反感は、選手が１人で成し遂げたことを国が横取りするような印象があるため」と説明した。キム博士は「極端に言えば、オリンピックから民族主義の甘い水がなくなるようだ」と付け加えた。



＜ソチ五輪＞挑戦受けるオリンピック愛国主義…「大韓民国よりキム・ヨナ応援」（冂）

【特集】ソチ冬季オリンピック２０１４