朴槿恵（パク・クネ）大統領が新年の記者会見で「統一は大きなチャンス」と述べて以来、政府と学界、メディアを中心に「統一大チャンス論」が急速に広まっている。突然訪れる統一は下手をするとマイナスになるおそれもある。統一を準備するというレベルで、統一談論が広まるのは望ましい現象とみられる。しかし統一は我々が望むからといって実現するわけではない。周辺国の利害が一致しなければならない。特に韓半島（朝鮮半島）に戦略的な利害がかかる米国と中国の同意と支持なしには難しい。

数日前、ケリー米国務長官は注目を引く発言をした。ドイツ・ミュンヘン安保会議に出席したケリー長官は、質問に答える過程で韓半島の統一に言及した。ケリー長官は、米国のアジア再均衡（リバランス）政策について説明しながら「我々は北朝鮮問題について議論している」と述べ、「２週後に中国に行っても北朝鮮イシューについて議論し、韓国・日本とともに統一についても議論するだろう」と述べた。北朝鮮に言及する中で、統一という単語が韓国・中国・日本という言葉とともに米外交の首長の口から出たという点は注目される。

中央日報が昨日報道した中国社会科学院の報告書も統一問題に言及した。中国政府の最大シンクタンクである社会科学院が発表した「２０１４年アジア・太平洋地区発展報告書」は、今後５－１０年以内に韓半島で発生しうる３つの可能性を提示し、最初に統一を挙げた。そして「中国がいかなる状況でも北朝鮮を放棄しないという誤った判断を払拭しなければならない」と主張した。北京の公式の立場を代弁したとは考えにくいが、中国官営研究所の正式報告書で統一と北朝鮮放棄の可能性に言及されたのは異例だ。


統一に対する幻想は禁物だ。とはいえ、米国と中国からも統一に関する話が出た点は目を引く。急変事態による統一であれ、合意による漸進的統一であれ、すべての可能性を開いて、徹底的に準備しなければならない。核心職務の人選を終え、公式発足した国家安全保障会議（ＮＳＣ）事務局の役割が重大となる理由だ。危機管理を含め、通常の外交・安保業務を通じて大統領を補佐するのはもちろん、統一までも念頭に置いた中長期戦略を立てるコントロールタワーの役割を果たさなければならない。

ＮＳＣ事務局は、国防部・外交部・統一部・国家情報院の円滑かつ有機的な協業体制が実現するよう運用されることが求められる。従来の外交安保首席秘書官とＮＳＣ事務局長の業務分担も確実にする必要がある。外交安保首席秘書官が海外歴訪や外賓面会など大統領の対外業務を取りまとめる儀典型秘書の役割にとどまれば、むしろ名称を変えて組織も縮小するのがよい。荒波が立つ北東アジア情勢の中で、ＮＳＣ事務局は安保と国益を担当し、統一まで準備しなければならない。昼夜を問わず駆け回ることになるだろう。