(左)黒田東彦日銀総裁「量的緩和2年超も」=1日のインタビューで、「円安、過度でない」=昨年11月の議会で。(右)玄オ錫経済副総理「為替レートに一喜一憂すべきでない」=3日の金融機関新年挨拶会で、「円安は予想通り」=2日の新年記者懇談会で。
黒田総裁の姿は、2008年の金融危機後3回にわたり約3兆ドルを供給したバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長を思い出させる。「FRBはドル発券力でデフレも退けることができる」という、いわゆる「バーナンキ・ドクトリン」の日本バージョンだ。円安は日本の輸入物価を引き上げ、デフレを防ぐ効果がある。さらに日本輸出企業には価格競争力というボーナスまで抱かせる。極右保守の道を歩んでいる安倍政権としては「一石二鳥」の妙手だ。
中国の為替操作に怒りを表してきた米国も、日本の露骨な円安ドライブには黙っている。中国を牽制するための苦肉の策だが、FRBが昨年末、量的緩和の縮小に着手した以上、円安は避けられない。米国が金融引き締めに入ればドル高になるしかない。さらに最近の米国の景気回復速度は市場の予想を上回っている。この傾向が続けば、量的緩和縮小も速まり、円安はさらに進む可能性が高い。 (中央SUNDAY第356号)
円安よりウォン高が問題…経常黒字のワナにはまった韓国ウォン(2)
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