チェ・テウォン・コーチ(左)が昨年6月29日、SK戦が雨で中止となった中、ベンチで歌を歌っている。(写真=中央フォト)。
保守的で権威的な読売で金杞泰が韓国人初の正式コーチになったのは、チームに溶け込んだからだ。日本語が話せなくても先に近付いてあいさつし、韓国料理で食事の接待をした。多くの人が金杞泰に近づき始めた。
原監督はある日、「君は韓国でかなり活躍した選手だったと聞いた。一度フリーバッティングをしてみなさい」と指示した。プライドが傷つく可能性もあるテストだったが、金杞泰は笑いながら応じた。金杞泰は東京ドームの外野席に打球をいくつも飛ばした。
記者は2007年から2年間、金杞泰の野球コラムを代筆した。電話で主要内容を話してくれれば、記者が整理する予定だったが、金杞泰は自ら熱心に書いた長い原稿を読んだ。金杞泰には慣れていないことだが、一言も間違わないよう努力したことが感じられた。
金杞泰には誠実で率直な面だけがあるのではない。老かいさも見える。李承ヨプ(イ・スンヨプ)が好調だった頃、金杞泰に「李承ヨプがより良い打者になるには何を補完すべきか」と尋ねたことがある。金杞泰は「李承ヨプはいま最高の状態だ。私ならこういう時期にわざと何度か三振する。例えば阪神のブルペン投手のスライダーをわざと空振りする。後に本当に重要な時、その投手はまたスライダーを投げるはずだ。それを狙えばいい」と話した。
金杞泰がLGの指揮棒を握り、2012年9月12日のSK戦で故意敗戦をめぐる論争を引き起こした時、人々は「金監督がSKの過度な投手交代に耐えられず事故を起こした」と話した。しかし記者は、今日のけがを覚悟して明日のための勝負に出たと考えた。
これに先立ち6月29日にSK戦が雨で中止となると、金杞泰はコーチ・選手に歌を1曲ずつ選ばせた。連敗中に“ダグアウトカラオケ”が開かれたのだ。テレビで中継されることも知らず、LGの選手は楽しく歌を歌った。数カ月間、金杞泰は選手たちに2つの姿、内では温かいが、外の相手とは激しく戦う指揮官の姿を見せた。
金杞泰は計15人のプロ監督を支えてきたが、その方々の長所を吸収して自分のものにすることを望んでいる。金杞泰は金星根(キム・ソングン)監督のように選手の頭の上に存在するリーダーではない。その代わり心を動かすことができる。金杞泰はEQ(感性指数)が高い人間だ。
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