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【コラム】張成沢のいない北朝鮮・中国関係

ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版

ソニー・リー スタンフォード大学アジア太平洋研究所パンテックフェロー

中国政府の張成沢(チャン・ソンテク)粛清についての観戦の仕方が全く興味深い。最初から「これは北朝鮮の内政」として明らかに一線を引いた。まるで自分たちとは関係のない遠い山火事でも見物するようだ。韓国は青瓦台(チョンワデ、大統領府)で国家安保会議を開き、米国ホワイトハウスが「北朝鮮内部の状況を鋭意注視している」と異例の論評をしたこととは対照的だ。さらに興味深いのは、洪磊外交部報道官の発言だ。彼は「中国は北朝鮮と伝統的な友好関係と協力を維持していくだろう」と話した。北中関係は数年前から血盟に基盤を置いた「伝統的友好関係」から正常な国家関係に変化しているというのが一般的見解だ。ところが張成沢の処刑を前後して突然、この頃使っていなかった表現を使ったのだ。ある中国人学者は「この表現を聞いたのは、ここ2年ぐらいで初めてだと思う」と話した。

北朝鮮も少しおかしいのは同じだ。北朝鮮が明らかにした張成沢の死刑執行文には「米帝と南朝鮮に便乗した」という罪目がある。そして「国の貴重な資源を安値で売ってしまう売国行為をした」という罪目もあるのに、その資源を安値で買った国の名前が明示されていない。「中国」を指し示しているのが明らかであるにもかかわらずだ。中国と北朝鮮が互いに見せた「小さな配慮」は、今後関係がどのように進むのかについての風向計だ。少なくとも「破綻」が起きる可能性は希薄だ。

中国の環球時報は最近「金正恩(キム・ジョンウン)の早急な訪中のための条件を作らなければならない」という社説を書いた。ここにも興味深い点がある。この社説を中国共産党の公式立場を代弁するという機関紙・人民日報がこっそり自社ウェブサイトに移して掲載したのだ。「中国政府が北朝鮮にシグナルを与えるもの」だと中国のある学者は解説した。「張成沢事件は北朝鮮内部のことなので干渉しない。だが後くされなくうまく処理して来なさい」というメッセージだということだ。


張成沢事件は必ずしも北中関係の「悪材料」にはならないようだ。金正恩側では中国が頼っていた張成沢をこれ見よがしに除去することによって、これからは年若い指導者を直接相手にすることを伝える効果を上げた。事実、中国は金正恩が「登場」した後、彼の権力掌握力を常に疑っていた。中国が憂慮する北朝鮮の急変事態といった不安定性が増すかもしれないからだ。今回、張成沢の除去過程であらわれた残忍さと一糸不乱さを見て、中国はむしろ金正恩を「あの父にしてあの息子」と思っている様子だ。また北朝鮮の最高権力者が金正恩だということが確認されている中で、張成沢のような「中間者」を経ずに直接疎通することをより望ましく考えているのかもしれない。

環球時報はこの社説で「金正恩の早急な訪中のための条件を作らなければならない。何よりも北朝鮮が努力する必要がある」と書いた。張成沢粛清事件が追い立てる北朝鮮内部の波風を、金正恩がうまく片づければ訪中を許すということだ。現在までは金正恩がこの条件を満たしている。速戦即決で張成沢の処刑を執行して「張成沢時代の終焉」を明確にすることによって内部の動揺を断ち切った。同時に北中間で進んでいる経済協力をそのまま推進している。「北朝鮮には何もない」という情勢安定のシグナルを対外的に送っているということだ。このように見れば、巷間の憂慮とは違って金正恩が今回の事件を通じて1人領導体制を完成して、対外的には名実共に最高指導者と認められるきっかけになるのかもしれない。

ソニー・リー スタンフォード大学アジア太平洋研究所パンテックフェロー

(中央SUNDAT第353号)



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