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【コラム】申智愛、厳しい米国より甘い日本? 夢をたたむにはまだ若い

ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版
崔羅蓮(チェ・ナヨン)の大きな目がさらに丸くなった。「智愛が出ないって?」。

先月25日に終わったLPGAツアー、CMEグループ・タイトルホルダーズに申智愛(シン・ジエ)の姿はなかった。各種個人タイトルがかかった最終戦であるうえ、優勝賞金が7億ウォン(約7000万円)を超える大きな大会だったため、見送るような競技ではなかった。組織委に尋ねると、最初から出場申請もしなかったという。

不参加の理由は誰にも分からなかった。申智愛は1週間後、日本女子ゴルフの最終戦ツアーチャンピオンシップに出場した。LPGA最終戦から抜けて日本の最終戦に出場したのは、何か重要な変化があるということだ。申智愛のマネージメント会社側は「申智愛は来年の日本ツアーカード維持のための大会数と賞金額を満たすため、日本の最終戦に出なければならなかった」と説明した。続いて「シードが確保されたので申智愛は来年、日本大会の比重を高めようと考えている」と伝えた。


申智愛が米国ツアーをあきらめたわけではない。日本ツアーの比重をどれほど増やすかもまだ決めていない。しかしメジャーリーグのLPGAに全力投球しないというのは意味のある変化だ。理由は、日本ツアーに申智愛のファンが多く、申智愛も日本ツアーに対する愛情が多いためという。自分のファンが多いからといって、メジャーリーグではなく日本を選ぶ野球選手がいるだろうか。オランダサッカーリーグの雰囲気が好きで、イングランドプレミアリーグから自発的に出ていく選手がいるだろうか。申智愛が後退していると見る理由だ。女子ゴルフの最も厳しいフィールドであるLPGAから一歩を退くのではないのだろうかという気がする。

そろばんを弾けば日本ツアーが実利の面ではよいだろう。米国ツアーは厳しい。世界を回らなければならず、旅行経費もかかり、肉体的にも疲れる。口に合う食事をするのも苦労し、稼ぎの面でもそうだ。LPGAツアーは日本より賞金総額が多いが、世界最高選手が競うため、賞金を獲得するのははるかに難しい。同じ実力なら、日本でプレーするほうが収入はよい。苦労が多くお金にならないLPGAツアーにあえてこだわる理由はないのかもしれない。

一般選手ならそうだ。しかし申智愛は違う。申智愛は夢を実現させた選手だ。申智愛のような小さな選手が世界一になると予想するゴルフ専門家はほとんどいなかった。しかし申智愛は無謀に足を踏み入れて突っ走った。サッカーのリオネル・メッシがそうであるように、身長でなく心臓の大きさでトップに立つ「小さな巨人」になった。申智愛は世界ランキング1位になった最初の韓国人ゴルファーだ。崔京周(チェ・キョンジュ)やパク・セリのようなアイコンだ。

選手がどのツアーでプレーしても、とやかく言うことではない。自分なりの計画があるはずだ。特に申智愛は精神的な苦労が大きかったはずだ。2003年に交通事故で亡くなった母親の保険金をもとに、10年間、背水の陣を敷いて頑張ってきた。長期にわたり担いできた重荷を下ろし、理想ではなく現実と妥協しなければならない時がくるだろう。苦しそうな表情も見える。賞金・世界ランキングともに1位だった申智愛の今年の賞金は22位、世界ランキングは14位まで落ちた。LPGAツアーが少しずつコースの長さを増やすのも負担だ。

それでもまだ若い。申智愛は来年26歳だ。体操選手でもなくゴルフ選手が26歳で夢をたたんでしまうのは残念だ。申智愛が今まで書き続けてきたストーリーがあまりにも惜しまれる。(中央SUNDAY第352号)



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