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吉田修一氏「小説は偽りだが、偽りを語る時に真実が見える」(1)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

【写真】=純文学と大衆文学を行き来する作品を書いてきた吉田修一氏は、自身を「コウモリ」に例えた。「純文学は声、大衆文学はストーリーだと考えている。雑誌の性格によって二つとも書いてみたらジャンルをそれほど認識しなくなった」と話した。

彼はいつも読者の期待を見事に打ち崩す。『悪人』の作家で今年デビュー15周年を迎える吉田修一氏(45)を1つのカテゴリーでしばるのは不可能だ。日本の文壇でも文学性と大衆性を同時に認められている作家として、これまで純文学から大衆文学までを合わせた作品を出してきた。

◆太陽光めぐる国際情報戦

吉田氏が諜報モノという新しいジャンルに挑戦状を叩きつけた。新作の長編『太陽は動かない』(韓国版:イチョウ出版)は、日本・中国・香港など東アジアを舞台に最先端の宇宙太陽光発電システムをめぐる国際情報戦を扱う。日本の小規模な芸能通信社を装った産業スパイ組織のアジアネット(AN)通信の要員・鷹野一彦と、謎の美女、そして韓国人諜報員のデイビッド・キムに中国の巨大エネルギー企業や日本・中国の政治家らが絡み、みなぎるような緊張感を表現する。新刊出版に合わせて訪韓した吉田氏に会った。


『悪人』などの前作が思い浮かぶ読者にとって今回の作品はなじみ薄く感じる。吉田氏は「『悪人』を書いた時もそうだった。恋愛小説の『東京湾景』を書いた吉田修一にふさわしいかという…。作品ごとに変化し続けなければならないと思っている」と言った。

自ら「私の文学人生の分岐点になる作品」と述べたように、新作では変化も感じされる。「以前の作品が登場人物の心を追いかけていったとすれば、今回は人物の体と動きに従った。そのような意味で今と全く違う方法で書いた。自然に楽しくなった」と話した。

新作はとにかく動的だ。前作『平成猿蟹合戦図』に続き、お金と愛に向かって突進する積極的なキャラクターが登場する。彼は今一度、話の力を信じるようになったといった。小説は偽りだが、偽りを語る時に見える真実があるということを知るようになったという説明だ。

今回の小説の出発点は、大阪で実際にあった乳児餓死事件だ。小説の主人公・一彦は、母親に捨てられた後に餓死状態で発見されて、要員として育てられる人物として描かれる。



吉田修一氏「小説は偽りだが、偽りを語る時に真実が見える」(2)

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