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『奇皇后』ファンタジー偏向の歴史わい曲…漫画的ロマンス繰り返す(1)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

実存人物の奇皇后を主人公として前面に出したが、歴史的事実と全く関係がないロマンスファンタジー史劇「奇皇后」の主人公たち。(写真=MBC)

史劇はドキュメンタリーではない。それでも無限虚構の領域でもない。

フェイスブック『ドラマの全て』チームが進めているドラマ舌戦13回のテーマに、MBC(文化放送)のファンタジー史劇『奇皇后』が挙げられた。高麗時代の貢女として連れて行かれ王の皇后になった奇皇后を初めて主人公にしたドラマだ。奇皇后はそれ以後、兄の奇轍(キ・チョル)などと共に高麗内政に干渉するなど悪女のイメージが強い。これをめぐって放送前から歴史わい曲論争が激しかった。事実と想像の出会い、今私たちの史劇はどこに立っているのだろうか。

◆歴史を消してファンタジーに=ドラマは奇皇后を、韓国史上で最初にグローバル舞台で活躍したアルファガール(エリート女性)として再照明を当てるという趣旨を掲げた。キャラクター設定がこれまでの悪女イメージとぶつかった。皇后の話が韓国史劇にふさわしいのかと「国籍」や歴史認識を問いただすとんでもない批判まで出てきた。奇皇后の相手が猟奇的な行為で名高い忠恵(チュンへ)王論争がより大きかった。放送直前に忠恵王は仮想の王ワン・ユに変わった。


だがドラマは、歴史わい曲論争が単なる取り越し苦労だったと思うほどロマンスファンタジーにひた走った。元に連れられて行った後、さまざまな苦難に遭って弱小国の悲しみを全身で表す民族主義者ワン・ユ(チュ・ジンモ扮)と、元によって両親を失い復讐心を燃やす男装の女性キ・スンニャン(ハ・ジウォン扮)、女官になったキ・スンニャンを愛する元の皇帝タファン(チ・チャンウク扮)の三角関係ロマンスだ。

タファンは元の実力者であるヨンチョル一党によって命の危険にさらされる境遇だ。タファンと政略結婚したヨンチョルの娘ダナシリ(答納失里、ペク・ジンヒ扮)、抜け目のないダナシリと気力の争いを行う皇太后(キム・ソヒョン扮)など、宮中の女性たちの対立がより増す。

貢女が元の皇后に上りつめたという設定1つだけ除けば、完ぺきな創作。歴史とは全く関係のないファンタジーロマンスだ。元の背景というものも意味がない。中国風のエキゾチックな画面の上に繰り広げられたドラマ『太陽を抱く月』流の、国籍不明・時代不明のロマンスだ。

釜山(プサン)大学のイム・ヨンホ教授は「歴史わい曲論争を辞さないとしながらも奇皇后という実存の人物を持ってきた理由が探しずらい。奇皇后の名前だけを借りてきた純然なファンタジー。いっそ完全仮想ドラマで行くほうが良かっただろう」と評した。大衆のこれまでの歴史認識と衝突する新しい解釈を試みる時は十分な根拠を備えるべきなのに、これさえ放棄したという批判も出てきた。



『奇皇后』ファンタジー偏向の歴史わい曲…漫画的ロマンス繰り返す(2)

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