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【コラム】「文学の国」韓国、遠のいた文学をもう一度(2)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
文学なしには生きていけなかった時代があった。李光洙(イ・グァンス)が文学を知、情、意の固有領域に独立させて以来、1970年代まで文学は時代の苦悩を表わす貯水池であり、作家は知情意を融合して時代精神の出口を開く戦士だった。作家は当代の最高の知性だった。主要新聞に毎月、月評が掲載され、文学賞の受賞者はすぐに話題になった。司法試験の合格がうらやましくなかったその自尊心が最近、時々ノーベル賞候補群に挙がっては消える作家群を輩出したのだ。作家の高銀(コ・ウン)は抑圧的な政権が生み出したあらゆる群像の乱舞を「人類愛」で解き、世界的な作家に仲間入りした。李文烈(イ・ムンヨル)は「父性の再解釈」、黄ソク暎(ファン・ソクヨン)は「分断国家の悲哀」でノーベル賞委員会の関心を引いた。英語、フランス語、ドイツ語に多くの作品が翻訳された。ところがその韓国的なテーマは世界史的な共感を呼ぶ文学的な情熱と普遍性を得られなかったのだ。文学の火が消えた国、魂との対話が言語と行動様式に転換されない国で孤軍奮闘したこの優れた作家群は結局、窮乏した私たちの文学環境を越えることができない。芸術家の大半が月所得100万ウォン(約9万円)以下と極めて貧しく、文学人はその比率が90%と断然底辺だ。

数年前のインタビューで故朴景利(パク・キョンリ)先生に尋ねたことがある。ノーベル賞を期待するかと。当時フランス語で『土地』1部が翻訳出版されたためにした質問だった。答えは意外にも断固としていた。「そのような質問を受ければ自尊心が傷つく」ということだった。文学は認められるための行為ではなく、庶民の胸に自分の存在に対する認知を呼び起こすための苦闘という意味だった。生涯世間と壁を作り『土地』に没頭した大作家の抱負は、私たちがこの足で立つ歴史の底辺を恨と憐憫の言語で敷くことだった。文学が日常に染みて日常が芸術的な想像力を生産する時、乾いた現実も豊かになるものだ。文学公園の空席の石板が満たされることを期待するなら、自分の生活空間に文学の片鱗がどれほど残っているかをまず確認しなければいけない。

宋虎根(ソン・ホグン)ソウル大教授・社会学

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