韓国国防部が「米国ミサイル防衛(MD)接近」と映る動きを見せているのは、北朝鮮の核脅威が深刻になったと判断しているからだ。北朝鮮のミサイル防御は韓国型ミサイル防衛体系(KAMD)が引き受ける。しかしKAMDでは十分に対応できないという点が問題だ。
核弾頭の小型化に成功した北朝鮮がミサイルを発射すれば、現在の韓国軍はどのように防御できるのか。
#仮定1=核弾頭を載せたノドンミサイルが韓国に向かってきた。空軍の防空誘導弾司令部は上空15-30キロでパトリオット3ミサイルを発射して迎撃する。しかし破壊してもあまり意味はない。核弾頭の爆発で発生する放射能物質がそのまま韓国に落ち、大きな被害が発生するからだ。地上からあまりにも近く、迎撃に1回失敗すればそれで終わりだ。
#仮定2=北朝鮮が核弾頭を載せたノドンを高角度(ロフト射撃方式)で発射した後、京畿道中部上空80-100キロで爆発させた。いわゆる電磁パルス(EMP)爆弾だ。爆発の影響は韓国を強打し、電子装備はすべてまひし、戦闘力を急速に失う。しかしこうした状況を防ぐ中高高度迎撃武器がない。
◆今年初めまでアローが有力候補
韓国国防研究院(KIDA)国防獲得研究センターのキム・ビョンヨン研究員による「韓国型ミサイル防衛体系のための提言」(2013年7月22日)は「低層防御中心のKAMDは防御領域が狭く、迎撃確率が低い」と指摘する。
北朝鮮のミサイルは大半が射程距離1000キロ以下の中短距離ミサイルであり、KN-02・スカッド・ノドンがある。こうした中短距離ミサイルを、すでに導入したパトリオットと新規導入するPAC3ミサイルで30キロ以下の高度で迎撃する。それが低層防御だ。
しかし低層防御は迎撃時間が短く迎撃も難しい。高度100キロ以上、すなわち宇宙と呼ばれる大気圏外の中間-上層段階で迎撃すれば、防御確率が高まる。軍関係者は「国防部は低層防御が可能だと判断した」とし「完ぺきなKAMD構築にかかる費用があまりにも多く、中国も考慮した」と述べた。しかしこの関係者は「最近は上層防御武器体系が必要だという方向に基調が変わった」と語った。
それが可能な武器がTHAADとSM3だ。今年初めまで国防部合同参謀本部とKIDA、国防科学研究所(ADD)の合同会議では、イスラエル製のアローミサイルが有力だったが、北朝鮮の核実験後に除外された。THAADとSM3のうち、空軍が推薦するTHAADが先に提起された。THAADは探知距離2000キロ以上のAN/TPY-2高性能Xバンドレーダー、迎撃高度40-150キロ、射程距離約150キロのミサイル(発射台6基、各8発)で構成される。中央日報が確保した軍内部の資料によると、一つの砲台に約2兆ウォンかかり、韓国には4つの砲台、8兆ウォンほどが必要だ。戦力化には5年ほどかかる。
海軍はイージス駆逐艦に搭載できるSM3に心が向いている。軍関係者は「海軍指揮部はみんな同じ考え」とし「保有中のイージス艦3隻に弾道弾防御システムを追加する性能改良の後、ミサイルを購入すればよい」と述べた。SM3ブロック2Aは迎撃高度70-500キロ、射程距離500キロと、THAADより性能が高い。イージス艦の性能改良に8000億ウォン(約700億円)かかり、ミサイルは1基150億ウォン。各艦艇に20基搭載すれば費用は計2兆ウォンほどだ。
海・空軍にはすでにTHAADとSM3をめぐり論争がある。相手の主張への対応論理まで作っている。最も大きな争点は中国を刺激するかどうかだ。
中国の「MD敏感症」はすでに2008年3月、公式的に表れた。当時、中国インターネットメディアは瀋陽・南京・北京・山東軍区代表が中央軍事委に「米国が韓国にMDを構築すれば、領域内の不安定につながる。これは韓米の責任」という立場を表明した、と報じた。民主党国防委幹事の安圭佰(アン・ギュベク)議員も「民主党は党論ではないが、中国を考慮して韓国の米国MD加入反対の立場を維持してきた」と述べた。
空軍の関係者も「高高度防御用のSM3は短距離中心である北朝鮮ミサイル迎撃用でなく、中国が日本・米国(グアムやハワイ)に向かって発射するミサイルを迎撃でき、中国が警戒している」と述べた。韓国に落ちない軌道で飛行する中国弾道弾を迎撃する能力を備えれば、中国を刺激するという論理だ。すなわち「THAADはKAMDだが、SM3はMD」ということだ。(中央SUNDAY第343号)
パトリオットだけでは北の中高高度ミサイル迎撃は不可能(2)
核弾頭の小型化に成功した北朝鮮がミサイルを発射すれば、現在の韓国軍はどのように防御できるのか。
#仮定1=核弾頭を載せたノドンミサイルが韓国に向かってきた。空軍の防空誘導弾司令部は上空15-30キロでパトリオット3ミサイルを発射して迎撃する。しかし破壊してもあまり意味はない。核弾頭の爆発で発生する放射能物質がそのまま韓国に落ち、大きな被害が発生するからだ。地上からあまりにも近く、迎撃に1回失敗すればそれで終わりだ。
#仮定2=北朝鮮が核弾頭を載せたノドンを高角度(ロフト射撃方式)で発射した後、京畿道中部上空80-100キロで爆発させた。いわゆる電磁パルス(EMP)爆弾だ。爆発の影響は韓国を強打し、電子装備はすべてまひし、戦闘力を急速に失う。しかしこうした状況を防ぐ中高高度迎撃武器がない。
◆今年初めまでアローが有力候補
韓国国防研究院(KIDA)国防獲得研究センターのキム・ビョンヨン研究員による「韓国型ミサイル防衛体系のための提言」(2013年7月22日)は「低層防御中心のKAMDは防御領域が狭く、迎撃確率が低い」と指摘する。
北朝鮮のミサイルは大半が射程距離1000キロ以下の中短距離ミサイルであり、KN-02・スカッド・ノドンがある。こうした中短距離ミサイルを、すでに導入したパトリオットと新規導入するPAC3ミサイルで30キロ以下の高度で迎撃する。それが低層防御だ。
しかし低層防御は迎撃時間が短く迎撃も難しい。高度100キロ以上、すなわち宇宙と呼ばれる大気圏外の中間-上層段階で迎撃すれば、防御確率が高まる。軍関係者は「国防部は低層防御が可能だと判断した」とし「完ぺきなKAMD構築にかかる費用があまりにも多く、中国も考慮した」と述べた。しかしこの関係者は「最近は上層防御武器体系が必要だという方向に基調が変わった」と語った。
それが可能な武器がTHAADとSM3だ。今年初めまで国防部合同参謀本部とKIDA、国防科学研究所(ADD)の合同会議では、イスラエル製のアローミサイルが有力だったが、北朝鮮の核実験後に除外された。THAADとSM3のうち、空軍が推薦するTHAADが先に提起された。THAADは探知距離2000キロ以上のAN/TPY-2高性能Xバンドレーダー、迎撃高度40-150キロ、射程距離約150キロのミサイル(発射台6基、各8発)で構成される。中央日報が確保した軍内部の資料によると、一つの砲台に約2兆ウォンかかり、韓国には4つの砲台、8兆ウォンほどが必要だ。戦力化には5年ほどかかる。
海軍はイージス駆逐艦に搭載できるSM3に心が向いている。軍関係者は「海軍指揮部はみんな同じ考え」とし「保有中のイージス艦3隻に弾道弾防御システムを追加する性能改良の後、ミサイルを購入すればよい」と述べた。SM3ブロック2Aは迎撃高度70-500キロ、射程距離500キロと、THAADより性能が高い。イージス艦の性能改良に8000億ウォン(約700億円)かかり、ミサイルは1基150億ウォン。各艦艇に20基搭載すれば費用は計2兆ウォンほどだ。
海・空軍にはすでにTHAADとSM3をめぐり論争がある。相手の主張への対応論理まで作っている。最も大きな争点は中国を刺激するかどうかだ。
中国の「MD敏感症」はすでに2008年3月、公式的に表れた。当時、中国インターネットメディアは瀋陽・南京・北京・山東軍区代表が中央軍事委に「米国が韓国にMDを構築すれば、領域内の不安定につながる。これは韓米の責任」という立場を表明した、と報じた。民主党国防委幹事の安圭佰(アン・ギュベク)議員も「民主党は党論ではないが、中国を考慮して韓国の米国MD加入反対の立場を維持してきた」と述べた。
空軍の関係者も「高高度防御用のSM3は短距離中心である北朝鮮ミサイル迎撃用でなく、中国が日本・米国(グアムやハワイ)に向かって発射するミサイルを迎撃でき、中国が警戒している」と述べた。韓国に落ちない軌道で飛行する中国弾道弾を迎撃する能力を備えれば、中国を刺激するという論理だ。すなわち「THAADはKAMDだが、SM3はMD」ということだ。(中央SUNDAY第343号)
パトリオットだけでは北の中高高度ミサイル迎撃は不可能(2)
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