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アベノミクスの狙い…「物価上がれば負債減る」(1)

ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版
フランツ・カフカの小説『変身』のように、ある日夢から覚めると、世の中のすべての価格が倍になったが、借金だけがそのままだという状況を想像してみよう。自分の給与、食料品価格、公共料金、住宅価格すべてだ。

審判の日が消え、喜びの日が到来する。名目国内総生産(GDP)が2倍になったため、負債比率の高い国が優良国家に生まれ変わり、ハウスプアの家庭や学資金の融資を受けた青年は希望を見いだすことになるだろう。負債なく預金だけがある引退者は直接的な恩恵はないが、消費・投資が活発になり、子どもが就職して未来を設計する姿を満たされた気分で眺めることができる。

インフレは長いあいだ「公共の敵」であったし、インフレを退治した人は「救国の英雄」として称賛された。イングランド銀行から中央銀行運営方式を学んだドイツのブンデスバンクが世界中央銀行のモデルになったのは、ワイマール共和国当時の殺人的なインフレを収拾し、ライン川の奇跡を起こしたからだ。


◆最大の難題、物価安定

リーマンブラザーズの破綻後、過去に米連邦準備制度理事会(FRB)議長を務めたポール・ボルカーの金融改革案だった「ボルカールール」が教示のように見なされ、彼の政策が再び注目され始めた。米国は1970年代、オイルショックなどの影響で慢性的な物価上昇に苦しんだ。ボルカーは79年、FRB議長に就任すると、金利20%、公式失業率10%(実際は20%以上)を甘受しながらも、金融を引き締め、インフレを終息させた。しかし建設会社が次々と倒産し、高金利に苦しむ農夫がトラクターに乗って集まり、ワシントンで激しくデモした。ボルカーをFRB議長に任命したジミー・カーター大統領は結局、再選に失敗した。しかし米国の中央銀行の独立性が認識されたのもこの時期だ。

韓国も物価の安定が最大の難題だった。公式統計とは関係なく、体感物価上昇率は普通30-40%だった。全斗煥(チョン・ドゥファン)政権に対し、物価の安定だけは政治的功績として認めるのも、あまりにも長期にわたりインフレに苦しんだからだ。今でも世論調査をすると、物価の安定が政府の最初の課題に挙げられる。

ところがグローバル金融危機後は雰囲気が変わっているようだ。現代経済学の巨頭ケネス・ロゴフとポール・クルーグマンは、国の負債が経済成長に及ぼす相関関係をめぐり、統計資料の誤用の可能性まで取り上げながら激しく論争した。しかし適正な水準のインフレ誘導が必要だという主張には意気投合した。あたかも消火栓を開けたように通貨をばらまくベン・バーナンキに向かっても「なぜそんなに小心なのか」と面責するほどだった。通貨危機当時、世界銀行の首席副総裁でありながらも隣の国際通貨基金(IMF)の高金利政策を厳しく批判し、所得分配を悪化させる米国的資本主義にいつも批判的な見解を示してきたジョセフ ・スティグリッツも、低所得層を支援するにはインフレを乗り切らなければならないと力説する。

◆国家負債解決の4つの案

コンサルティング会社マッキンゼーは過度な国家負債の解決方法を4つ提示した。成長、緊縮、不渡り、インフレだ。

成長を通した負債の縮小から見てみよう。最も教科書的な方法だが、マッキンゼーが研究した32事例のうち成功したのは1回だけだ。強力な構造改革を断行した後も長い時間がかかり、運も伴わなければならない。緊縮を通じて負債をGDP比25%水準まで縮小させるには、約7年が必要という調査結果が出た。しかしその過程でGDPも25%減るのが問題だ。今のギリシャ・ポルトガルがこの段階にあり、スペインがその後を追っているが、依然として解決の兆しは見えない。成長戦略であれ緊縮戦略であれ、周辺国をはじめとする貿易相手国の経済が厳しい場合、成功の可能性が非常に低い。

国家不渡りのような債務調整は実際、頻繁に起きている。80年代、中南米のほとんどすべての国が一回ずつ経験している。私たちは個人の改善作業を通じて債務再調整を終え、取引銀行が何もなかったかのように待遇しなければならないと考える。しかし国際金融界では事情が違う。債務調整が行われた国に対しては、普通、数年間は接近を制限する。通貨危機当時、中東の港に停泊した韓国のタンカーには原油が供給されなかった。現金、それもドルを先払いしてこそ、原油の供給が可能という要求だった。このように、冬が寒く、食べ物が不足し、国際貿易依存度が高い国では、モラトリアム(支払い猶予)を宣言しにくい。 (中央SUNDAY第342号)



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