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【コラム】物理学が支配する韓国政治

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
韓国政治は政治学よりも物理学で見ると説明がうまくいく。物理学のすそ野を政治分野まで拡張させたという点で、全世界の物理学者が関心を持つに値するだろう。ニュートンが確立した「作用・反作用の法則」(運動の第2法則)は、韓国政治の信条であることに間違いない。作用には必ず反作用があって、反作用の力は作用する力と大きさは同じだが方向は反対だというこの原理で、与野党は一寸の誤差もない。過去、与党の法案強行処理に野党の場外闘争は公式のように作動したし、今度は国家情報院の改革をめぐって青瓦台(チョンワデ、大統領府)・セヌリ党が野党の大統領選不服従心理を刺激すると民主党は場外闘争に続く「激しい院内闘争」で正面対決した。相手の党議員に対する告訴には相互告訴も例外なく、ニュートンの第3法則に従って作用と反作用を拡大再生産するのが私たち韓国の政治だ。

作用と反作用の衝突はどん詰まりで帰結される。2008年12月の韓米自由貿易協定(FTA)批准案の処理が代表的だ。当時与党が批准案の上程のために国会外交通商委会議場を封じ込めると、野党はチェーンソーとハンマーで出入り口を壊した。これほどになれば運動エネルギーの公式が国会に適用された事例となる。運動エネルギー=1/2mv2で、運動エネルギーは質量(m)に比例するが速度(v)では自乗に比例する。だからもし野党議員がハンマーをまた使うことがあれば科学的に思考して重いハンマーよりは、もっと速く打ち下ろせるハンマーを探すことを望む。

韓国政治のもうひとつの特徴は、同じ現象でもそれぞれ違うように聞こえるドップラー効果だ。ドップラー効果は、たとえば動く汽車が近づく時は汽笛が高く聞こえ、遠ざかれば低い音で聞こえる原理だ。秋夕(チュソク、中秋)に民心に接した後、セヌリ党では「民主主義のために場外闘争をするという民主党の主張を鼻であしらっていた」とし、民主党では「朴槿恵(パク・クネ)大統領の頑固一徹を憂慮する話が多かった」と言った。立っている場所が違うと、政治に疲れた民心がどこかに向けて出している警告の汽笛の音も違ったように聞こえる。


韓国政治はついにニュートン物理学を超えて全宇宙次元の天体物理学に拡大した。光が1年間で届く距離は1光年だ。したがって8.6光年離れている夜空のシリウスは8年余り前の姿で、約250万光年離れているというアンドロメダ銀河は250万年前の過去だ。視野に広がる同じ空間にあるからといって同じ時間帯にあるわけではない。ところで国家情報院の捜査結果によれば李石基(イ・ソッキ)統合進歩党議員が主導したいわゆる「RO会合」では、BB弾銃改造や鉄塔破壊のような250万年前のアンドロメダからでも出てきそうな外界語が登場した。同じ空間にあっても他の時間を生きていることを如実に見せた。

物理の世界では1+1=2だ。しかし政治は違う。民心は1+1を時には0にするし時には3に増やす。民心という定数のために、交渉と妥協のひもを放さないのが政治だ。だから物理が支配する政治は「科学的政治」ではなく「悲しい政治」なのだ。

チェ・ビョンゴン政治国際部門次長



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