昨日、米政府が国際貿易委員会(ITC)の旧型iPhone輸入禁止決定に対して拒否権を行使したのは意外だ。ITCの判決に対する拒否権行使は、1916年以降6回にすぎず、今回の拒否権行使は87年のレーガン元大統領以来26年ぶりとなる。驚きを禁じ得ない。米通商代表部(USTR)のフローマン代表は「(拒否権行使は)米国の競争環境に及ぼす影響と米国の消費者に及ぼす影響など、さまざまな政策的考慮に基づくものだ」と主張した。そして標準特許は「公正、合理的、非差別的(Fair, Reasonable, and Non-Discriminatory)」に使用されるべきだとするFRAND原則を名分として出した。サムスン電子のような必須標準特許(SEP)保有企業の特許権乱用を防ぐという意味だ。
我々は米政府に3つのことを尋ねたい。まず、米国は今後も標準特許にFRAND原則を適用する考えかどうかだ。なら09年からサムスン電子から4億ドルのロイヤルティーを受けた米国の特許怪物インターデジタルの標準特許にも同じ基準を突きつけるのが当然だ。一般的に標準特許は他の特許に比べて無効の可能性が低く、技術を具現するために必ず使用しなければならない核心特許だ。アップルがサムスン電子に対して問題視したデザインやユーティリティ特許よりはるかに重要だというのが、産業界の常識だ。今回の拒否権行使はこうした常識を正面から覆した。
2つ目、今回の拒否権行使が「政策的考慮」でなく「政治的考慮」のためではないか気にかかる。ITCの決定が出た直後、米上院議員と移動通信会社はUSTRに「iPhoneの輸入禁止に関し、公益を慎重に考慮することを求める」という書簡を送った。今回の拒否権行使がこうした米国の政治・産業界の流れと関係がないのか疑問を感じる。
3つ目、今回の決定の過程でiPhone4の新しい価値が考慮されたのではないか問いたい。発売から3年過ぎたiPhone4は当初、輸入が禁止されても大きな意味がない古い製品だった。しかし今年に入ってiPhone4は適当な中低価格スマートフォンがないアップルにとって大きな収入源になっている。米市場ではいわゆる“無料フォン”として、インドなど価格に敏感なエマージングマーケットではアンドロイド陣営の対抗馬の役割をしているのだ。iPhone5の人気が低調でもアップルのスマートフォン販売台数が着実に増える理由もiPhone4にある。
我々は米政府が9日に予定されたITCの判決でも、今回と同じように拒否権を行使するかどうかに注目する。すでにITCはアップルの主張を受け入れ、サムスン電子がアップルの特許を侵害したという予備判定を出している。これに対し米移動通信会社と消費者団体は「サムスン製品の米国内輸入禁止に反対する」という声明を相次いで発表した。もしITCがサムスン製品の輸入を禁止する最終判決を下せば、米政府は60日後にこれを受け入れるかどうかを決めなければならない。その時も同じようにUSTRが「米国の競争環境と消費者に及ぼす影響」を挙げて拒否権を行使するかどうか凝視するだろう。
何よりも心配されるのは、今回の拒否権行使の背景に米国の保護貿易主義があるのではという点だ。いずれにしても今回の決定は明白に自国企業のアップルに軍配を挙げた。そしてこれ以上標準特許で訴訟を起こすなという威圧も込められている。こうした状況で、どの企業が汗を流して標準特許を開発し、技術革新にまい進するだろうか。今回、ITCは自由貿易の礎石である知的財産権を尊重したのに対し、USTRは「政策的考慮」によって特許権を無視することもあるという危険な前例を残した。これを露骨な保護主義路線でなければ何というのか。世界が米国の政府と裁判所が相次いでアップルの肩を持ったことに警戒の眼差しを送る理由もここにある。
我々は米政府に3つのことを尋ねたい。まず、米国は今後も標準特許にFRAND原則を適用する考えかどうかだ。なら09年からサムスン電子から4億ドルのロイヤルティーを受けた米国の特許怪物インターデジタルの標準特許にも同じ基準を突きつけるのが当然だ。一般的に標準特許は他の特許に比べて無効の可能性が低く、技術を具現するために必ず使用しなければならない核心特許だ。アップルがサムスン電子に対して問題視したデザインやユーティリティ特許よりはるかに重要だというのが、産業界の常識だ。今回の拒否権行使はこうした常識を正面から覆した。
2つ目、今回の拒否権行使が「政策的考慮」でなく「政治的考慮」のためではないか気にかかる。ITCの決定が出た直後、米上院議員と移動通信会社はUSTRに「iPhoneの輸入禁止に関し、公益を慎重に考慮することを求める」という書簡を送った。今回の拒否権行使がこうした米国の政治・産業界の流れと関係がないのか疑問を感じる。
3つ目、今回の決定の過程でiPhone4の新しい価値が考慮されたのではないか問いたい。発売から3年過ぎたiPhone4は当初、輸入が禁止されても大きな意味がない古い製品だった。しかし今年に入ってiPhone4は適当な中低価格スマートフォンがないアップルにとって大きな収入源になっている。米市場ではいわゆる“無料フォン”として、インドなど価格に敏感なエマージングマーケットではアンドロイド陣営の対抗馬の役割をしているのだ。iPhone5の人気が低調でもアップルのスマートフォン販売台数が着実に増える理由もiPhone4にある。
我々は米政府が9日に予定されたITCの判決でも、今回と同じように拒否権を行使するかどうかに注目する。すでにITCはアップルの主張を受け入れ、サムスン電子がアップルの特許を侵害したという予備判定を出している。これに対し米移動通信会社と消費者団体は「サムスン製品の米国内輸入禁止に反対する」という声明を相次いで発表した。もしITCがサムスン製品の輸入を禁止する最終判決を下せば、米政府は60日後にこれを受け入れるかどうかを決めなければならない。その時も同じようにUSTRが「米国の競争環境と消費者に及ぼす影響」を挙げて拒否権を行使するかどうか凝視するだろう。
何よりも心配されるのは、今回の拒否権行使の背景に米国の保護貿易主義があるのではという点だ。いずれにしても今回の決定は明白に自国企業のアップルに軍配を挙げた。そしてこれ以上標準特許で訴訟を起こすなという威圧も込められている。こうした状況で、どの企業が汗を流して標準特許を開発し、技術革新にまい進するだろうか。今回、ITCは自由貿易の礎石である知的財産権を尊重したのに対し、USTRは「政策的考慮」によって特許権を無視することもあるという危険な前例を残した。これを露骨な保護主義路線でなければ何というのか。世界が米国の政府と裁判所が相次いでアップルの肩を持ったことに警戒の眼差しを送る理由もここにある。
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