与野党を問わず政治家たちが乱発している浅はかで低俗で、時には猟奇的な言葉をひと所に羅列すれば、大げさでなく無知と無教養の展示場となるだろう。韓国の政治家たちは相手方を批判する時、風刺や比喩を使おうとは思わない。人身攻撃性のある発言を平気で行う。これは教育過程を通じて修辞（レトリック、Ｒｈｅｔｏｒｉｃ）やコミュニケーションを学ぶ機会がない韓国人の一般的な言語レベルでもある。国民が直接選んだ大統領を“あなた”と呼び、生まれるべきでないという“鬼胎”の子孫だと名指しするのは彼女を大統領に選んだ国民を侮辱する暴言だ。晋州（チンジュ）医療院を閉鎖した洪準杓（ホン・ジュンピョ）慶南道（キョンナムド）知事をヒトラーに例えたのは、歴史に対する無知の標本だ。文在寅（ムン・ジェイン）、安哲秀（アン・チョルス）の大統領候補統一化を批判するとしながら下品な表現を使った国会議員、大統領の唇を工業用ミシンで縫おうといった国会議員、大統領の対日政策を投身外交だと中傷した国会議員、女性たちの前で遠慮なくセクハラ的な発言をする国会議員は、どんな不利益にもあわずごく少数の熱狂的な支持者の歓呼を楽しんだ。悪名を駆せても世の中の注目を浴びることが政治的にプラスになると勘違いしている。

地に落ちた政治家たちの言語レベルを嘆いているばかりではいられない。どうすべきか。政治家たちには自浄能力がない。こんな政治家ばかりなのだから何を期待できようか。最後のとりでは市民社会だ。政治家たちは政治以前に国語を汚染させている。国語学会が決起しなければならない。政治家たちは育つ世代に一生涯にわたる害悪を及ぼす。地域ごとに母親団体が立ち上がらなければならない。政治家たちは、ともすればユーモラスにわい談レベルのセクハラ発言をする。女性団体が保護者団体らと共に決起しなければならない。韓国国民も浅はかな言葉に敏感に反応しなければならない。

真に嘆かわしいのは、前途有望な初当選議員が、低俗発言の隊列に入り込んでしまうことだ。国会議員を長くやっている政治家たちは韓国政治の汚水にどっぷりとまみれた人々だ。彼らの言語レベルは救済不能だ。しかし新人政治家はそうなってはいけない。反面教師とすべき先輩政治家たちを熱心にまねる。“鬼胎”発言で消耗的な波風を起こした民主党の洪翼杓（ホン・イクピョ）議員が率先して他の初当選議員らと共に修辞の基本から勉強しながら、美しい言葉を使う運動を行うことが望ましい。そしてアテネの大政治家ペリクレス（紀元前４９６～４２９）のように、マイクを持つ前に、自分が発する言葉が横道にそれないよう見守ってほしいと神に祈ることを望む。韓国の政治家たちは、自分たちの演説の中から、ただの一つも万人の口に上がるような名演説が出てこなかった理由を猛省しなければならない。


キム・ヨンヒ論説委員



【コラム】韓国の政治家から名演説が出ない理由を猛省すべき（１）