日本の右翼政党日本維新の会の共同代表である石原慎太郎氏と橋下徹氏の言い合いが徐々に佳境に入っている。

「慰安婦は戦場で必要だった」という橋下大阪市長の発言以後、日本維新の会の支持率が急落し、互いに責任を転嫁している局面だ。

先に怒りを爆発させたのは石原前東京都知事。彼は１８日に日本維新の会の議員団役員会で、「橋下氏の発言で党は大迷惑を被っている。選挙を戦う仲間に謝るべきだ」と主張した。会議が終わると石原氏は大阪にいる橋下氏に電話をかけ、テレビカメラの前で有権者向けに釈明すべきと叱った。


これにかっとした橋下氏は「辞めろと言われれば、いつでも辞める」と反発した。また、「今月末の執行役員会議やツイッターで説明する」ともした。これまで「ツイッターはやめるべき」と忠告してきた石原氏をせせら笑いながら謝罪を拒否したのだ。機嫌を損ねた石原氏は「そういう脅迫調の対応はしないほうがいい」と反論した。それでも怒りが収まらなかった石原氏は共同通信とのインタビューで橋下氏に対する攻撃レベルをさらに高めた。「言わなくてもいいこと（慰安婦発言）を言ってタブーに触れたわけだからいまさら強弁してもしようがない。弁護士の限界だ」などの発言をぶちまけた。

橋下氏は１９日、「歯止めがかかる党だというのが表になって良かった。これが日本維新の会の姿だ」と褒め称えながらも「私の発言が間違っているとは思っていない」と繰り返し釘を刺した。

２人は昨年１１月に衆議院選挙を控え「第３の勢力」を掲げて党を統合した。お互いを「真のリーダー」と褒め称えた。だが、選挙結果は期待に沿えず２人はことあるごとに意見が衝突した。ともに性格が強く妥協点を求めることができなかった。

２人は日本の政界で代表的な右翼に分類されるが歴史観においては微妙な立場の違いがある。橋下は「侵略戦争という見方は正しい。謝らなければならない。だが、慰安婦の強制動員の証拠はない。日本も間違っていたが日本だけが悪い国とみられるのは耐えがたい」と主張する。これに対し石原氏は最初から「日本がやったのは侵略戦争ではない」という確信犯だ。核武装まで主張する。

日本のメディアは２人の亀裂を「予想されたこと」と分析している。東京など関東地方を根拠地とする７０～８０代の根っからの保守勢力と、大阪など関西地方出身の新興右翼勢力がひとつに混ざるにはあまりにも感情の谷が深まったという指摘だ。