オ・ヒ教授
1992年に大学を卒業した後、米国に渡った。97年にエール大数学科で博士学位を取得し、ブラウン大学の教授(2006年)になった。留学をしてから21年。米アイビーリーグ名門大、エール大数学科の終身(テニュア)教授になった。1701年に設立されたエール大の数学科に、女性終身教授が任用されたのは初めてだ。
高等科学院数学部のオ・ヒ教授(44)のことだ。オ教授は08年からは高等科学院の教授も兼ねている。世界最大の数学団体である米国数学会(AMS)フェローとしても活動する。オ教授は「血を見るのも怖い性格なので、医大に合格していれば大変なことになるところだった。偶然、数学を専攻することになったが、振り返ってみると運命だった」と語った。7月からエール大で勤務することになったオ教授に28日、電話でインタビューした。
--もともと数学が好きだったのか。
「高校の時、数学は好きだったが、数学をする職業(数学者)があるということは知らなかった。大学に進学する時、第2志望で数学科を選んだのは、兄(金大中政権当時に青瓦台行政官を務めたオ・サンボム氏)のためだった。兄が知り合いの教授に私の進路について相談したところ、その教授が『多くの若者に基礎科学を専攻してほしい』と勧めたと聞いた。後に分かったが、その方が金仲秀(キム・ジュンス)現韓国銀行(韓銀)総裁だった」
--数学のどのようなところが好きか。
「まっ暗な部屋に突然明かりがつく状況を想像してほしい。部屋の構造がひと目で分かり、気になっていたことが一気に解消する。数学の問題を解く過程はそれと似ている。誰も行ったことがない道を探していく成就感が数学の魅力といえる。完ぺきな数学理論は色彩・構造が完ぺきな芸術作品を見るように美しい」
--「男性は女性より数学が得意」という通念があるが。
「それは違う。数学者は女性によい職業だと思う。他の理工系専攻は実験室で多くの時間を過ごさなければいけないが、数学者は勉強する机さえあればよい。確かに女性より男性の数学者が多い。そのために男性的な文化が形成されている。女性の後輩のロールモデルになりたいと思う」
--留学時代に言語障壁はなかったか。
「あった。しかし留学に行く時から言語ストレスを受けないように努力した。言語は専攻の勉強をする手段にすぎないと考えた。数学ができれば周囲の人たちは何とか私の(下手な)英語を理解しようとするが、英語をうまく話せても数学ができなければ誰も私の話に耳を傾けない。今でも学生たちを教える程度しか英語を話せない(笑)」
--最近研究しているテーマは。
「幾何学のような数学の古典的な領域の問題を動力学(dynamics)のような新しい方法論で解いている。数学のノーベル賞と呼ばれる“フィールズ賞”の受賞者の中にもこういう研究をする人が多い」
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