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PSYに歓呼ではなくヤジ飛ばすイタリアサッカー

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

歌手PSY

歌手PSYが27日にイタリアのローマで開かれた公演中に災難に遭った。伊プロサッカーのASローマとラツィオによるイタリアカップ決勝戦を控え『江南(カンナム)スタイル』を熱唱したが、サッカーファンから歓呼の代わりに荒々しいヤジだけ受けた。

欧州のメディアは今回のハプニングと関連し人種差別疑惑を取り上げた。イタリア最高のサッカークラブを決める舞台に東洋人歌手を招いたことが両チームのサポーターの気分を害したという分析だ。APは「PSYに向けられたファンのヤジが人種差別的なのかは確実でないが、両チームのファンが人種差別で悪名が高いことだけは明らかだ」と遠まわしに疑惑を提起した。

ラツィオとローマのサポーターは口うるさく問題の多いイタリアのサッカークラブの中でも最も過激なグループだ。ローマのファンは12日に開かれたACミランとの試合中にマリオ・バロテッリなど相手チームの黒人選手に人種差別的なヤジを飛ばしセリエA事務局から5万ユーロの罰金を科された。ラツィオも昨年イングランドのトッテナム・ホットスパーとの試合中に一部ファンが人種差別的な言葉を叫び欧州サッカー連盟(UEFA)から罰金4万ユーロと無観客試合2試合の懲戒を受けた。


サッカーチームのサポーターはその数が増えると分派が生まれるものだ。このうち最も過激なグループを「ウルトラス」と呼ぶ。フーリガンもこのようなウルトラス組織に属する場合が多い。イタリアのサッカー応援はウルトラスが主導権を握っているのが問題だ。2007年にイタリアの日刊紙イル・ジョルナーレは、「イタリア全国に約300のウルトラス組織と7万人の会員が活動中で、このうち2万5000人は暴力的指向が高い危険人物に分類される」と報道した。一部のウルトラスはマフィアの直接的・間接的な指揮を受けることでも知られている。

2001年から7年間にわたりイタリアでサッカーコラムニストとして活動したイ・ユンチョル氏は、「相対的に穏健な北部のクラブと比べ、ローマやナポリなどイタリア南部地域のチームのスタジアムの雰囲気はそれこそ殺伐だ。子どもを連れて行きにくいほど雰囲気が険悪で、家族中心のサッカー観戦の習慣は急速に姿を消している」と話した。実際にセリエAは観衆減少に頭を痛めている。2011~2012シーズンの平均観客数は2万2493人で、欧州リーグ1位の独ブンデスリーガの4万5116人に比べ半分水準だ。

暴力が乱舞する応援スタイルと関連し、「景気低迷の副作用」とする分析もある。債務不履行(デフォルト)の危機に陥ったイタリアは工業が発達した北部と貧しい南部の顕著な経済格差、企業と労働者、正規職と非正規職の対立が激しい。このような不満がサッカー場で暴力的な応援として噴出しているということだ。

セリエAは積極的な投資を基に1990年代から2000年代初期まで欧州最高のリーグの地位を享受したが、いまではトップスターを引き込む資金も魅力もない2流リーグになった。八百長や審判買収のようなモラルハザードもしばしば起きている。

高麗(コリョ)大学社会学科のキム・ムンジョ教授は、「規範が合理化された社会でサッカー場は潜在的欲求を噴出する制度化された舞台だ。欲求を表出する具体的な方法は各国の文化社会的な脈絡により変わる。特に集団的な行動は小さな変数によりあっという間に特定方向に増幅される」と説明した。



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