20年前の1993年、ドイツで海洋地質資源研究博士課程を経ていた極地気候研究センターのナム・スンイル専任研究員は、韓国人で初めてドイツのアルフレッドウェゲナー極地海洋研究所(AWI)所属の砕氷船「ポーラーシュテルン」(北極星)に乗り込んだ。砕氷船はグリーンランド北側の北極海を航海した。ナム博士は当時氷河から離れた氷山の壮厳さに驚きを隠すことができなかった。
「北極では10キロメートルの距離まで視野が開きます。この世の果てを勉強するのにぴったりな所でしょう」。
彼は「通り過ぎるクジラの群れと、氷河の上にいるホッキョクグマを見ながら、ここが北極ということを実感した。思う存分に研究できるドイツの砕氷船がとてもうらやましかった」と当時を回想した。
20年が過ぎたいま、ナム博士は他の国の研究者がうらやむ砕氷船「アラオン号」に乗り北極を研究している。
彼は海底の堆積物をボーリングし数百万年間の気候変動を研究している。2~3メートルの氷も簡単に砕氷するアラオン号に乗ったこの3年間に北極に通ったナム博士は「20年間で北極も変わり、北極を研究する韓国も変わった。いまでは中国や日本をはじめ欧州の研究者もアラオン号に乗って共同研究を進めたがっている」と話した。韓国の極地研究環境が変わったのと同じぐらい北極も変わったという。20年前のナム博士の初めての探査時と比較すると氷河は40%ほど減り、冬季の平均地表温度は10度近く上がった。2008年に韓国で初めて「夢の航路」と呼ばれる2万キロメートルの北極海北西~北東航路を78日かけて1周したナム博士は、「当時初めて北極海で高さ5~6メートルの波を伴う暴風に見舞われた。氷が溶けて低気圧が形成され北極にも暴風が生じた」と話した。
ホッキョクグマの話も切り出した。「昨年の航海中には小さな氷の上に乗ったホッキョクグマを見たが、周辺はすべて海だった。温暖化によってホッキョクグマが1頭で迷って流れてきたもの」と話した。地球温暖化の現実を目の当たりしたわけだ。
韓国は北極まで2週間しかかからない近い位置のおかげで北極研究を行うのに有利な環境にある。毎年日本、米国、カナダなど8~10カ国から来た10人前後の外国人学者がアラオン号に乗って北極航海に出る。
特に今年は「燃える氷」と呼ばれるメタンハイドレートの探査が含まれており各国の関心は熱い。ナム博士は、「来年はドイツと共同探査が企画されており、2016年にはアラオン号が北極点を直接探査する計画だ。これまでは研究をしたくてもよその船に乗せてもらう立場で研究できないケースが多かったが、いまでは事情が変わった」と話した。彼は「日本の場合、南極への補給をする砕氷船だけがあり、中国も研究よりは政治的レベルで砕氷船を運営している。韓国が現在のように短期間に砕氷船を備え北極研究のリーディンググループになったのはすごいことだ」と評価した。
ナム博士は、「気候変動において人間の心臓のような役割をするのが北極だ。北極研究の最優先は気候変動という環境災害への対応になるべきで、資源と航路をめぐる列強の争奪戦になってはならない」と強調した。合わせて「韓国も世界的課題である気候環境変動に共同対応しながら北極開発に平和的に参加できる方策を模索しなければならないだろう」と指摘した。
「北極では10キロメートルの距離まで視野が開きます。この世の果てを勉強するのにぴったりな所でしょう」。
彼は「通り過ぎるクジラの群れと、氷河の上にいるホッキョクグマを見ながら、ここが北極ということを実感した。思う存分に研究できるドイツの砕氷船がとてもうらやましかった」と当時を回想した。
20年が過ぎたいま、ナム博士は他の国の研究者がうらやむ砕氷船「アラオン号」に乗り北極を研究している。
彼は海底の堆積物をボーリングし数百万年間の気候変動を研究している。2~3メートルの氷も簡単に砕氷するアラオン号に乗ったこの3年間に北極に通ったナム博士は「20年間で北極も変わり、北極を研究する韓国も変わった。いまでは中国や日本をはじめ欧州の研究者もアラオン号に乗って共同研究を進めたがっている」と話した。韓国の極地研究環境が変わったのと同じぐらい北極も変わったという。20年前のナム博士の初めての探査時と比較すると氷河は40%ほど減り、冬季の平均地表温度は10度近く上がった。2008年に韓国で初めて「夢の航路」と呼ばれる2万キロメートルの北極海北西~北東航路を78日かけて1周したナム博士は、「当時初めて北極海で高さ5~6メートルの波を伴う暴風に見舞われた。氷が溶けて低気圧が形成され北極にも暴風が生じた」と話した。
ホッキョクグマの話も切り出した。「昨年の航海中には小さな氷の上に乗ったホッキョクグマを見たが、周辺はすべて海だった。温暖化によってホッキョクグマが1頭で迷って流れてきたもの」と話した。地球温暖化の現実を目の当たりしたわけだ。
韓国は北極まで2週間しかかからない近い位置のおかげで北極研究を行うのに有利な環境にある。毎年日本、米国、カナダなど8~10カ国から来た10人前後の外国人学者がアラオン号に乗って北極航海に出る。
特に今年は「燃える氷」と呼ばれるメタンハイドレートの探査が含まれており各国の関心は熱い。ナム博士は、「来年はドイツと共同探査が企画されており、2016年にはアラオン号が北極点を直接探査する計画だ。これまでは研究をしたくてもよその船に乗せてもらう立場で研究できないケースが多かったが、いまでは事情が変わった」と話した。彼は「日本の場合、南極への補給をする砕氷船だけがあり、中国も研究よりは政治的レベルで砕氷船を運営している。韓国が現在のように短期間に砕氷船を備え北極研究のリーディンググループになったのはすごいことだ」と評価した。
ナム博士は、「気候変動において人間の心臓のような役割をするのが北極だ。北極研究の最優先は気候変動という環境災害への対応になるべきで、資源と航路をめぐる列強の争奪戦になってはならない」と強調した。合わせて「韓国も世界的課題である気候環境変動に共同対応しながら北極開発に平和的に参加できる方策を模索しなければならないだろう」と指摘した。
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