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【社説】韓国経済の足引っ張る現代・起亜自の貴族労組

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
現代(ヒョンデ)自動車グループの鄭夢九(チョン・モング)会長はこのほど2種類の意味深長な発言をした。ひとつは「機会がくれば海外工場を新増設する」とし、韓国内の工場には言及しなかった。もうひとつは鄭会長が、「今年の韓国での生産量を10万~20万台減らし、海外工場生産量は増やすことを検討せよ」と秘密裏に指示したという内容だ。鄭会長は同時に3年連続無ストを引き出したユン・ヨチョル顧問を再び労務総括担当副会長に就けた。このような一連の流れは週末特別勤務をめぐる労使合意が守られなかったことに対する鄭会長の不満にみえる。

現代自動車は3月から夜間勤務をなくし昼間連続2交代制を全面施行した。労働者の健康と生活の質を高めるための社会的合意にともなう措置だ。現代自動車は賃金補填と生産量維持のため3000億ウォンを投資した。重い部品は機械やロボットで組み立てるなど生産ラインを大幅に合理化させた。それにもかかわらず、週末特別勤務の白紙化で生産への支障が出たほか、第1四半期の売り上げ増加率は6%台に落ちた。労組委員長が合意した週末特別勤務を労組のいくつかの分派が反故にしたためだ。

起亜自動車労組はさらに厳しい。起亜自動車は昨年2800億ウォンをかけて光州(クァンジュ)工場を62万台体制に増設した。これに対し労組が稼動拒否の兆しを見せると今年初めに泣く泣く「生産職世襲」の要求を受け入れた。それでも起亜自動車は依然として前・現労組執行部の対立で正常に回ってない。ここにことあるごとに社内下請け(非正規職)労組までストライキに加勢し生産支障が拡大している。このような状況ではいくら政府が「大企業は投資を増やしてほしい」と言ってもまともに投資が行われるわけがない。貴族労組が韓国経済の足を引っ張っているのだ。


現代・起亜自動車労組は危機意識を感じなければならない。昨年国内生産が初めて海外生産に逆転された。韓国工場の賃金は高く生産性が落ちているため当然の結果だ。ここに現代・起亜自動車は円安の直撃弾を受けている。トヨタ自動車は1ドル=80円台でも6%の営業利益率を記録した怪物だ。いまのように1ドル=100円に迫る為替相場ではとても対抗できない相手だ。このような流れが長期化すればいくら現代・起亜自動車でも構造調整を避けることはできない。海外工場はうまくいき、協力企業の営業利益率は限界状況まできただけに、構造調整対象は高費用・低効率が慢性化した韓国内工場しかない。

国民感情も現代・起亜自動車の貴族労組に否定的に転じて久しい。2009年の金融危機の際に国民の血税6435億ウォンが老朽車税制支援に投入された。その年現代自動車は3兆ウォン、起亜自動車は1兆4500億ウォンの記録的な当期純利益を収めた。その金で通常賃金の300%+400万ウォン、無争議激励金で100万ウォン+現代自動車株40株(450万ウォン相当)の成果給を乱発しなかったか。韓国社会はその背信を忘れることはできない。現代・起亜自動車の労使がどのようにしようが自由だ。だが、いくら厳しくなっても再び韓国社会に手を差し出す考えはたたまなければならない。もしかしたらこれが現代・起亜自動車の貴族労組が自ら招いた最大の危機かもしれない。



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