ソン・ヨンジェ（１９、延世大）のリボン種目の演技は、まるでバレエと同じだった。チャイコフスキー『白鳥の湖』の音楽に合わせて演技をしたソン・ヨンジェは、はつらつとしたダンスステップの動きを終えた後に回転を始めた。１回、２回、３回…。数えることもできないほど速い回転がしばらくの間続くとすぐに競技場は大歓声に包まれた。

ソン・ヨンジェは２９日（韓国時間）、イタリアのペサロで行われた２０１３国際体操連盟（ＦＩＧ）新体操ワールドカップ（Ｗ杯）リボン種目で１７．４８３点をマークした。韓国新体操史上初めてＦＩＧのＷ杯で銀メダルを首にかけた。昨年４月にロシアのペンザでつかんだ初のＷ杯メダル（フープ種目の銅メダル）から１年ぶりだった。

新体操選手からは見るのが難しい“名品”回転が銀メダルを導いた。ソン・ヨンジェの回転演技は白鳥“オデット”に変身した黒鳥“オディール”がジークフリート王子を誘惑するために見せる連続回転の動きだ。フェッテ（ｆｏｕｅｔｔｅ・片足はつま先で体を支え、もう片方の足は折りたたんだり伸ばしたりとむち打つように繰り返す回転動作）を３２回まわる。“フェッテ３２回転”はバレリーナの最高技術だ。


ソン・ヨンジェは幼いころ新体操とともにクラシックバレエも習った。今でも現地練習の場であるモスクワでエレーナ・リピョルドバ（Ｊｅｌｅｎａ　Ｌｉｐｙｏｒｄｏｖａ）コーチとともにバレエ公演をよく見て歩く。

ペサロＷ杯を中継したチャ・ソンウンＭＢＣ解説委員兼国際審判は「当時、ソン・ヨンジェは“１１連続マルチプルフェッテピボット”をした。１度に２回転をする動作が６回出てきたので計１７回転した」と説明した。ソン・ヨンジェがフェッテで獲得した点数は１．７点とかなり高い比重を占めた。チャ委員は「ソン・ヨンジェがその場に刺さったように中心軸が全くぶれないまま回転した」として「バレエとは違い、リボンをずっとまわしながら回転をしなければならない。これほど多くの回転を完全にこなせるのは、世界トップレベル選手だけだ。連続フェッテ回転はソン・ヨンジェのトレードマークになるだろう」と付け加えた。