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【中央時評】通貨戦争と韓国経済(1)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
ペンシルバニア大のイ・ジョンシク名誉教授は、昨年出版した『21世紀 にもう一度見る解放後史』という著書の中で、「韓国は小さな国であるがゆえにその歴史は研究しやすいように見えるが、実際は、いむしろ米国のような大きな国よりもはるかに難しい」と述懐している。その理由は、韓国の政治社会の流れが内部的な要因よりも周囲を取り巻く強国の国内的な状況変化からの影響を色濃く受けて来たためだ。解放後の韓国史を理解するには、韓半島を取り囲む米国・ロシア・日本・中国などの解放後の歴史をすべて研究しないと不可能だということだ。

歴史かくのごとし、いわんや経済においてをや。韓国経済は世界経済の流れから切り離して理解することはできない。1980年代前半、韓国が物価安定を達成できた背景には、当時の全斗換(チョン・ドゥファン)政権-キム・ジェイク経済首席の役割も大きかったが、それよりも米連邦準備制度理事会(FRB)で取締役会議長だったポール・ボルカーの金融引き締め政策の断行がなかったら米国と世界的なインフレは安定化に向かわなかっただろうし、その結果、韓国の安定化政策も成功していなかったかもしれない。第2次オイルショックや世界経済の沈滞による釜山(プサン)・馬山(マサン)の輸出産業悪化という足かせがなかったら、長期執権や維新独裁に対する国民的な抵抗の中でも、朴正熙(パク・チョンヒ)大統領などが暗殺された10・26事件は起きなかったかもしれない。日本の不動産・証券バブルが1991年以後にはじけ、日本銀行の不良債権が徐々にに増え、銀行らが自己資本比率を合わせるためにアジア各国に対する債券を回収し始めなかったら、1997年のアジア・韓国通貨危機は触発されなかったかもしれない。1980年代末にバブルを大きくした日本の金融政策がなかったら、また日本が低金利政策を取ってバブル経済に走るきっかけとなった1985年のプラザ協定による円の持続的切り上げがなかったら、おそらく1997年通貨危機による金大中(キム・デジュン)政府発足もなかったかもしれない。

バタフライ効果といっただろうか。蝶の小さな羽ばたきがやがて地球の別の場所で嵐を引き起こすことになる現象のことだ。今は蝶ではなく鷲がしきりに羽ばたきをしている。アベノミクスと呼ばれる日本の新しい経済政策はわずか2カ月で円の価値を15%近く引き下げる結果となった。FRBのバーナンキ議長は、少なくとも向こう2年間はゼロ金利を維持すると宣言して量的緩和を持続している。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁も類似の低金利、量的緩和政策を推進している。彼らの羽ばたきが北東アジア大陸の端にある韓国経済にどんな嵐をもたらすのか未知数だ。

【中央時評】通貨戦争と韓国経済(2)

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