ワールド・ベースボール・クラシック（ＷＢＣ）は野球ファンにとって最高の祭りである同時に戦争だ。特に歴史的・政治的に対立する国家間の試合は、軍隊の代理戦のような印象を与えることもある。選手は祖国の名誉を胸に刻む。勝てば英雄視され、負ければ敗残兵のように惨めになる。

韓国が今回の第３回ＷＢＣで優勝するためには、必ず第１・２回大会のチャンピオンである日本を越えなければならない。ＷＢＣの韓日戦はいつも熱くて劇的だった。１９１０年から１９４５年まで日本の統治支配を受けた韓国は、ほとんどのスポーツ種目で“克日”に成功した。

しかし野球だけは日本に追いついていない。０６年第１回大会を控え、日本代表のリーダーのイチロー（４０、ニューヨーク・ヤンキース）が「（韓国が）向こう３０年は日本に手は出せないなという思いになるほどの勝ち方をしたい」と挑発したのも、こうした背景からだった。


しかしＷＢＣを通じて、両国は最高のライバルになった。韓国は日本を相手に第１回大会で２勝１敗、第２回大会で２勝３敗だった。０８北京オリンピック（五輪）では日本を２度も破って金メダルを獲得した。

日本戦で李承ヨプ（イ・スンヨプ、３７、サムスン）、金泰均（キム・テギュン、３１、ハンファ）が本塁打を打てば“克日砲”となり、奉重根（ボン・ジュングン、３３、ＬＧ）が好投すれば“奉重根義士”となった。

今回の韓日戦は第２ラウンド（３月８－１２日）で実現する見込みだ。両チームとも４強入りすれば、米国で対戦する可能性もある。李承ヨプは「日本戦になれば集中力と精神力がさらに高まる。良い勝負をしたい」と述べ、捕手の姜ミン鎬（カン・ミンホ、２８、ロッテ）は「決勝戦で必ず日本に勝ちたい」と意気込んでいる。

台湾は中国との対戦を待っている。両国はお互いの政府を認めないほど対立している。主要２カ国（Ｇ２）を自負する中国は米国とともにスポーツ強国だ。台湾は“国技”の野球は中国に負けないと誇ってきたが、北京五輪と０９年ＷＢＣ第１ラウンド予選で中国に敗れた。プライドが傷ついた台湾はメジャーで活躍した王建民（３３）と郭泓志（３２）を呼んで代表チームを構成した。韓国と同じＢ組の台湾は第２ラウンドに進出する可能性が高いが、日本・キューバと同じＡ組の中国が第２ラウンドに進出する確率は高くないと予想される。

“野球宗主国”米国と“アマチュア最強”キューバも宿敵だ。米国はキューバが５０年代に社会主義国家を宣言して以来、経済的な制裁で圧力を加えている。最近はその程度が弱まったが、野球のライバル意識は相変わらずだ。Ａ組キューバとＤ組米国の対戦はともに決選ラウンドに進めば実現する可能性がある。両国はＷＢＣでの対戦は一度もなく、北京五輪ではキューバが２度とも勝った。

サッカー強国のスペインは劇的にＷＢＣ本大会進出を決め、Ｃ組に属する。同じ組にはスペインの植民統治を受けたベネズエラ（１５２２－１８１１年）、プエルトリコ（１４９３－１８９８年）、ドミニカ共和国（１４９２－１７９５年、１８０９－１８２２年）と強豪がそろっている。