このところ大事に読んでいる漫画がある。日本の益田ミリの女性漫画３部作だ。益田ミリは３０代のシングル女性「すーちゃん」を主人公とする漫画で大人気を呼び、日本の独身女性の「精神的柱」と呼ばれている作家だ。代表作である『結婚しなくていいですか』『ほしいものはなんですか？』『週末、森で』の３作が昨年末に韓国で翻訳出版された。

１人暮らしのカフェマネジャーのすーちゃん、１人娘を持つ専業主婦のミナ子、都会での生活をやめ田舎に引っ越した翻訳家の早川と３作品の主人公はそれぞれ異なる。だが、全員３０代を通過中の女性という共通点がある。漫画には彼女たちの退屈な人生が退屈に描かれる。特別な挫折や恋愛談は当然なく、事件というのは会社の隣席の先輩の過度に大きな声のためにストレスに苦しめられるエピソード程度だ。話の大部分は登場人物が日常でぶつかる各種の雑念と退社後に女友だちに会って交わすけだるい会話で満たされる。ところが不思議にも本を手放せない。

漫画には女性たちが「まさにそれだ」と言いたくなるせりふがあふれる。サンタクロースにどんなプレゼントをもらいたいかという小学生の親戚の質問にオールドミスのおばは「うん…、保障？」と答える。専業主婦の母は「それならば、私は存在感を望む」と言う。３０代のシングル女性２人がお茶を飲みながら話す冗談。「この前油取り紙をプレゼントにもらったが、もう顔から油が出ない。むしろ油補給紙が必要だ」。お金も恋人もなく流れる自身の人生を夜遅くまで悩んだすーちゃんはそのまま寝ることにする。「まずお風呂に入ろう。未来は見えないが、明日はすぐ目の前にある！」


ヒーリングブームというが、「あなたという花が咲く季節は別にある。まだ時が来ていないだけだ」のようなせりふにはこれ以上、心は揺れない。誰かが自身の人生で発見した知恵を耳元で熱心にささやいたとしても、それは彼の知恵であるだけで私に吸収される可能性は高くないという乾いた考えがたびたび浮かぶ。こんな冬、私と似た心配で時々よく眠れない友だちを漫画で会うことになりどれほどうれしいか。「このまま年齢ばかり重ねて何にもなれないまま終わるのではないだろうか」と不安に思いながらも、週末がくればまた、森の道を歩き、「人間は目的地に到着するためだけに歩くのではない」と自らをなぐさめられる女たち。このような同志たちの存在を確認することほど強い慰労がほかにあるだろうか。

イ・ヨンヒ（文化スポーツ部門記者）