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【社説】旧正月元日の朝に

ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版
#1.「新年おめでとうございます」

正月シーズンに最もたくさん言い、そして聞く言葉だ。人はだれでも福をもらいたいと思う。問題はもらおうとばかりすることだ。韓国学分野の権威者であるキム・ヨルギュ西江(ソガン)大学名誉教授は、「現代人に幸福はプレゼントや景品のように、与えられることを願う対象になってしまった」と嘆く。

福をそのようにもらうばかりならば、その福というものはいったいどこからくるのだろうか。だれかが福を作らなければならないのではないか。そこで仏家では福をもらうことより福を作ることがさらに重要だと話す。「雑宝蔵経」はお金をかけずに福を作る方法が7種類あると伝えている。やわらかな顔で施し(和顔施)、良い話し方で施し(言辞施)、心がけを良くして施し(心施)、良い目つきで施し(眼施)、指示する時もやわらかにし(指施)、座る位置に配慮し(状座施)、休めるくらいの部屋を与える(房舎施)ことなどだ。結局、「福が出てくる畑」をしっかり育ててこそ福もよく受けられるという話だ。


#2.「およそ持てる者は与えられより豊かになり、およそ持たない者はそのあるものをも奪われるだろう」。

新約聖書マタイ福音13章12節の言葉だ。1960年代末、米国の社会学者のロバート・マートンは、富める者はますます富み、貧しい者はますます貧しくなるという現象を説明しながらこの言葉を使い「マタイ効果」という用語を作り出した。世界的に二極化現象が深刻化する最近の世相にも適用できる言葉だ。ところでちょっとおかしい。マートンの見方でこの言葉を見ると、金持ちは金持ちになり続け、貧しい人は貧しくなり続けるという話と解釈できる。これは公平なことではないのではないか。

キリスト教徒はもちろん異なる解釈をする。物質に対する話ではなく信頼に対する話というものだ。

肯定の力を強調したベストセラー『ザ・シークレット』の著者ロンダ・バーンは少し異なる解釈を出す。この一節には隠された文章があり、それは「感謝する心が」という言葉ということだ。事実10節と11節を見ると、「天国の秘密」がこの比喩の言葉の中に隠されていることが暗示されている。バーンの言葉通りに整理しなおすとこうだ。

「およそ感謝する心がある者は与えられより豊かになり、およそ感謝する心がない者はそのあるものをも奪われるだろう」。

#3.正月だ。新年だ。新しい日が昇った。だが、景気不況と政治不安に過去に例のない寒波まで重なり暮らしの厳しさがこの上なく感じられる。いったいどこからこの悪循環を断ち切るべきか。

解決の端緒は自分から始めなければならないだろう。自ら福を作る心にならなければならないだろう。朝の日差しに目を開けられるということから感謝しよう。愛する家族がそばにいることに感謝し、とても小さなことでもだれかに感謝の気持ちを表現してみよう。少なくとも新年初日はそうすべきだろう。(中央SUNDAY第309号)



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