いつか、おぼろげな過去の思い出に触れようと米ロサンゼルス近隣の“私の住んだ故郷”に寄ったことがある。家主に一部始終を説明すると、快く中に通してくれた。あれこれと子どもの世話に追われた当時のその場面が、家のあちこちからとび出してきた。長男のひざを血だらけにした庭の隅に突き出た石、二男が特に好きだった滑り台の階段、ごちゃごちゃと置いて食事の支度をした台所のカウンターまで。
居間の壁の煖炉にかかっている大きな靴下の中に子どものクリスマスプレゼントを入れる夫の姿も見える。2階にいく階段の6段目が特にきしんだ記憶があり、そっと上がってみた。補修して間もないのか。階段からは木の香りがした。そしてそっと踏んでみた6段目の階段。まさか、あの頃と変わらない全く同じ音。その瞬間、恐怖を感じ、急いで家主に礼を言って出ていった。
居間の壁の煖炉にかかっている大きな靴下の中に子どものクリスマスプレゼントを入れる夫の姿も見える。2階にいく階段の6段目が特にきしんだ記憶があり、そっと上がってみた。補修して間もないのか。階段からは木の香りがした。そしてそっと踏んでみた6段目の階段。まさか、あの頃と変わらない全く同じ音。その瞬間、恐怖を感じ、急いで家主に礼を言って出ていった。
この記事を読んで…