安哲秀(アン・チョルス)無所属候補が出馬を取りやめた。候補一本化の世論調査ルール交渉が越えられない壁にぶつかり、自分が辞退することを選択したのだ。これで投票を25日後に控え、野党の単一候補は文在寅(ムン・ジェイン)民主党候補に決まった。すべての過程が他の国では見られない非正常的だ。しかし候補一本化の“霧’が消えたのは幸いだ。時間はあまり残っていないが、大統領選挙は朴槿恵(パク・クネ)候補-文在寅候補の政策対決に進めるようになった。
安哲秀候補の辞退は混乱と非常識のクライマックスだ。昨年秋のソウル市長出馬放棄以来、安候補はおよそ1年間、大統領選出馬をめぐり不透明な動きを見せた。職業は大学教授だが、事実上、出馬に備えた政治活動を行った。安候補は政権交代を支持しながらも、民主党の党内選挙には参加しなかった。かといって速かに無所属出馬を宣言するわけでもなかった。韓国社会にはしばらく“安哲秀混乱”というミステリードラマが上映された。
9月19日に安候補は無所属出馬を宣言した。しかし混乱はさらに深まった。安候補は出馬時から政治革新と国民の同意という2つの条件を掲げながら、候補一本化の道を開いておいた。“出馬霧”は“候補一本化霧”に変わった。候補一本化というブラックホールが政策問題を吸い込みながら、大統領選挙は史上最大の奇怪な状況に向かった。野党が準決勝状態にあり、朴槿恵候補が参加するテレビ討論も不可能だった。
政策も五里霧中だった。安候補は政策チームを急いで結成し、政策チームは公約を急造した。安候補は新しい政治を主張したが、出した政治改革案は文在寅候補さえも“非現実的”と批判するほどだった。候補一本化の圧力に押され、安候補は交渉テーブルに座った。安候補は政治、経済・福祉、外交・安保の3分野で、文候補と政策候補一本化を実現すると公約した。候補一本化が実現すれば、従来の文・安政策は相当部分が変わるところだった。したがって与野党の政策比較検証がきちんと行われる状況ではなかった。政策の比較分析がこのように物理的に不十分だった選挙は類例がないだろう。
安候補は新しい政治を主張したが、選挙運動と交渉の過程で旧政治に閉じ込められた。文候補は57年の伝統を持つ第1野党が13回も地域選挙戦を行って選出した正統候補だ。安哲秀候補は無所属だ。無所属ならば挑戦者の立場で小さな困難を甘受し、大きな勝負に出る姿を見せる必要があった。それでも安候補は旧政治スタイルのルール争いに固執した。「野党の単一候補として誰を支持するか」程度の世論調査質問項目なら、安候補は堂々と受け入れるべきだった。しかし安候補は誤差範囲内にすぎない2、3%の優位を得ようと最後まで対抗した。
安候補は「新しい政治開拓者」にふさわしいモラルと現実的な能力を見せることができなかった。経歴の多くの部分は“古い世の中”を歩んできた多くの人たちとそれほど変わらなかった。新しい政治プログラムも新鮮なものはなかった。安候補は政権交代という大義のために譲歩すると述べた。歴史の使命のために情熱を傾けると言った。しかし安候補が選挙運動と交渉過程で見せた旧態は、こうした名分を支えることができなかった。
安候補は韓国社会の貴重な社会的資産だ。安候補は誠実だったし、努力もした。ワクチンソフトなど未知の道を切り開き、「青春コンサート」を続けながら若い世代と疎通した。昨年秋から安候補は政治革新を主張し、これに政界は大きく反応した。安候補の辞退とは関係なく、政治改革は大きく進展するだろう。しかし社会的資産と政治的資産は違う。政治指導者になるにはスローガンを越える経歴・知識・ビジョン、そして勢力がなければならない。安候補にはこういう面で失敗した。
明日から候補登録が始まり、大統領選挙は本質に入る。遅くなったが、テレビ討論と遊説、政策発表を通じて、候補は国家問題の解決策を国民に提示しなければならない。今後5年間には多くの挑戦が待っている。低成長という新しく危険な環境、二極化という慢性病、そして韓半島情勢の変化という未知の脅威が立ちはだかっている。候補も有権者も“安哲秀霧”の中で見失った国家の道を見つけなければならない。
安哲秀候補の辞退は混乱と非常識のクライマックスだ。昨年秋のソウル市長出馬放棄以来、安候補はおよそ1年間、大統領選出馬をめぐり不透明な動きを見せた。職業は大学教授だが、事実上、出馬に備えた政治活動を行った。安候補は政権交代を支持しながらも、民主党の党内選挙には参加しなかった。かといって速かに無所属出馬を宣言するわけでもなかった。韓国社会にはしばらく“安哲秀混乱”というミステリードラマが上映された。
9月19日に安候補は無所属出馬を宣言した。しかし混乱はさらに深まった。安候補は出馬時から政治革新と国民の同意という2つの条件を掲げながら、候補一本化の道を開いておいた。“出馬霧”は“候補一本化霧”に変わった。候補一本化というブラックホールが政策問題を吸い込みながら、大統領選挙は史上最大の奇怪な状況に向かった。野党が準決勝状態にあり、朴槿恵候補が参加するテレビ討論も不可能だった。
政策も五里霧中だった。安候補は政策チームを急いで結成し、政策チームは公約を急造した。安候補は新しい政治を主張したが、出した政治改革案は文在寅候補さえも“非現実的”と批判するほどだった。候補一本化の圧力に押され、安候補は交渉テーブルに座った。安候補は政治、経済・福祉、外交・安保の3分野で、文候補と政策候補一本化を実現すると公約した。候補一本化が実現すれば、従来の文・安政策は相当部分が変わるところだった。したがって与野党の政策比較検証がきちんと行われる状況ではなかった。政策の比較分析がこのように物理的に不十分だった選挙は類例がないだろう。
安候補は新しい政治を主張したが、選挙運動と交渉の過程で旧政治に閉じ込められた。文候補は57年の伝統を持つ第1野党が13回も地域選挙戦を行って選出した正統候補だ。安哲秀候補は無所属だ。無所属ならば挑戦者の立場で小さな困難を甘受し、大きな勝負に出る姿を見せる必要があった。それでも安候補は旧政治スタイルのルール争いに固執した。「野党の単一候補として誰を支持するか」程度の世論調査質問項目なら、安候補は堂々と受け入れるべきだった。しかし安候補は誤差範囲内にすぎない2、3%の優位を得ようと最後まで対抗した。
安候補は「新しい政治開拓者」にふさわしいモラルと現実的な能力を見せることができなかった。経歴の多くの部分は“古い世の中”を歩んできた多くの人たちとそれほど変わらなかった。新しい政治プログラムも新鮮なものはなかった。安候補は政権交代という大義のために譲歩すると述べた。歴史の使命のために情熱を傾けると言った。しかし安候補が選挙運動と交渉過程で見せた旧態は、こうした名分を支えることができなかった。
安候補は韓国社会の貴重な社会的資産だ。安候補は誠実だったし、努力もした。ワクチンソフトなど未知の道を切り開き、「青春コンサート」を続けながら若い世代と疎通した。昨年秋から安候補は政治革新を主張し、これに政界は大きく反応した。安候補の辞退とは関係なく、政治改革は大きく進展するだろう。しかし社会的資産と政治的資産は違う。政治指導者になるにはスローガンを越える経歴・知識・ビジョン、そして勢力がなければならない。安候補にはこういう面で失敗した。
明日から候補登録が始まり、大統領選挙は本質に入る。遅くなったが、テレビ討論と遊説、政策発表を通じて、候補は国家問題の解決策を国民に提示しなければならない。今後5年間には多くの挑戦が待っている。低成長という新しく危険な環境、二極化という慢性病、そして韓半島情勢の変化という未知の脅威が立ちはだかっている。候補も有権者も“安哲秀霧”の中で見失った国家の道を見つけなければならない。
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