変身へのあがきもあった。パナソニックは２０１０年、“経営の神様”と呼ばれた創業者・松下幸之助の「松下」ブランドを捨てた。その代わりに海外向けブランドのパナソニックに社名を変更した。創業者の名前が入った暖簾を捨てたのは、死を覚悟した「背水の陣」だった。しかし遅すぎた。津賀一宏パナソニック社長はブランドパワーの弱化を認めた。

日本家電業界の没落は日本国内工場の相次ぐ閉鎖で表れた。シャープの亀山工場とパナソニックの尼崎・茂原工場などが閉鎖された。道を整備し、税金を免除して工場を誘致した地方自治体は虚脱感を感じている。職員は職場を離れ、周辺の商店街は人が少ない。

トップ企業であっても少しでも油断すれば崩れる世の中だ。大統領選挙を控えて韓国の政界は大企業たたきに血眼だが、日本家電業界の没落を見れば、ただ韓国看板企業がグローバル市場で長く生き残ることを願うだけだ。


キム・ドンホ政治国際部門記者



【取材日記】日本家電業界没落の教傌（１）