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【社説】李大統領、拒否権を行使してはいけない

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
ロシアなど4カ国の訪問日程を終えて昨日帰国した李明博(イ・ミョンバク)大統領の机上には政治的に敏感な宿題が提出されていた。国会が今月3日に政府に渡した「内谷洞(ネゴクドン)私邸敷地購入疑惑の調査のための特別検事法案(内谷洞特検法案)」について、その拒否権行使の是非を決定しなければならない。李大統領は政府に送られてきた法案に対して15日中に公布するか、拒否権を行使するために週末に熟考し、いずれにしても18日までに立場を決めなければならない。

結論から言うと、李大統領は内谷洞特検法案に対し拒否権を行使してはいけない。特検法案に拒否権を行使しなければならないという見解が権在珍(クォン・ジェジン)法務省長官を中心に政府と青瓦台(チョンワデ、大統領府)の一部に広がっているようだが、これはいけないことだ。

拒否権行事論の論拠は、特定政党である民主党が特別検査候補2人を推薦し、このうち1人を大統領が任命できるようにした法案が特検の公正性に疑問を投げかけることになり、大統領の任命権を事実上剥奪することで憲法の権力分立精神を害しているというのだ。“政治的告発人”である民主党に、初めから調査権を任せたことは公正ではないという話だ。一言で、違憲の素地があるため大統領が国会に再議を求めなければならないということだ。


告発人が調査権を行使するのが不適切だという指摘は一理ある。しかし内谷洞特検法案は他の一般法と違い、李大統領とその息子シヒョン氏、青瓦台警護処の不法性について捜査を命じるものとして作られた法だ。李大統領と青瓦台は一種の被告発人だったわけだが、被告発人が拒否権を行使することは告発人が調査権を行使することよりも不適切なことだ。

李大統領は当選したばかりの2008年1月、側近の金伯駿(キム・ベクジュン)前青瓦台総務企画官を通じて「特検推薦権を大法院長(最高裁判所長官)に任せたのは違憲」とし“BBK事件特検法”を憲法裁判所に提訴したことがある。当時、憲法裁判所は推薦部分に合憲判断をしながら「権力統制機能を持った特検制度の主旨と機能に照らし、特検制導入の是非を立法府が独自的に決めて、特検任命に関する権限を憲法機関の間で分散させるのが権力分立原則に反するとは言えない」と明示した。特検推薦権を誰に与えるかについては、全面的に立法権の裁量に属するという点を確かにしたのだ。李大統領がもし今回拒否権を行使すれば、4年前には特検推薦権を大法院長が持っていると言って問題視し、今は民主党が持っていると言って問題視しているとの批判を受けることになるだろう。

李大統領は法精神と法感情、憲裁の判例に照らし合わせて拒否権を行使しないことが正しいが、だからといって内谷洞特検法が持つ行き過ぎた政治性が免除されるわけではない。政党名を特定して特検推薦権を与えたことは不適切なことだが、大統領選挙の政局に反李明博感情を活用してやろうという民主党の浅はかな下心と、変にこれに反発して親李明博という烙印を押されるのではないかというセヌリ党の卑怯さが相まって、このようなポピュリズム立法を生んだのだ。李大統領が拒否権を行使しないなら、民主党は自ら特検推薦権を放棄して、大韓弁協などに依頼する方法を選び、国民の信頼を獲得してくれることを望む。



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